Research Abstract |
研究最終年度にあたる本年は,老人病院の診療記録に加えて受診者のSNPsデータも測定し,これからのマイニング作業を進めた.また,医薬品群の特徴的構造の獲得,タンパク質間相互作用やサイトカインシグナルの解析,それらを支えるマイニングシステムの高度化等についても幅広く研究を遂行した.以下に本年度行った研究の主要な内容を項目に分けて示す. 1.本研究開始時に収集した老人病院受診者125人の診療記録データについては,2年後の追跡データを加えるとともに,肝臓代謝関係を中心としたSNPs測定のための設計を行い,実際にこれらSNPsを計測した.これらデータを統合して解析用のデータマートを作成し解析した結果,特定の医薬品間における相互作用ばかりでなく,それらへのSNPsの関与を示唆する結果を得ることができた. 2.Medline収載文献における肝疾患と遺伝子群の出現内容に基づき,疾患と遺伝子間の相関関係を各種のマイニング法により抽出した.各疾患に対する遺伝子の影響をまとめてグラフ表示することにより,疾患群に対するプロファイルを作成し,それが医学者による疾患理解に有効であることを確認した. 3.マイニング結果としてたがいに支持事例の重なるルールが多数出力される場合,ルールの視察順序を提案することにより,効率的な解析が行えるシステムを作成した.これにより,データ全体の特徴を把握するプロセスを合理化し,複雑な解析を行えるようになった. 4.医薬品の化学構造と生理活性間の相関解析においては,出力ルールに現れる重要なフラグメント表記を出発点として,化学者により容易に理解できる化学構造へと最適化するためのシステムを開発した.これにより,重要なフラグメントが同定されている場合には,簡単にファーマコフォア構造を得ることに成功した.
|