2002 Fiscal Year Annual Research Report
構造物の劣化を決定論的に据えた積雪寒冷地における道路維持管理システムの構築
Project/Area Number |
14208038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加賀屋 誠一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70091436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 賢悦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90322833)
小幡 卓司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20214215)
名和 豊春 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30292056)
萩原 亨 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60172839)
上田 多門 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00151796)
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Keywords | 循環型社会 / 道路維持管理 / 冬期路面 / GIS / 空間情報 / 劣化度 / コンクリート構造 / セメント / 塩化物イオン / モニタリング / 鋼橋 / 交通シミュレーション / 非常時の交通維持 / 交通事故 / 路面のすべり / 路面のわだち |
Research Abstract |
本研究は、道路の維持および建設における循環型社会の形成が不可欠と考え、冬期の道路維持管理に関する協調的な社会システムの構築を目指している。平成14年度には、冬期路面管理を踏まえた個々のシステムの評価及び評価技術について、以下のような提案を行うことができた。 (1)複合機能型GISの開発:ブール代数アプローチを援用することで、質的データを用いた地域分析を行うためのアルゴリズムを考案し、GISアプリとして活用することを試みた。その結果、カテゴリカルデータによる線形モデルのようなイメージで空間情報を要約することが可能となった。 (2)構造物の劣化度評価技術:1)円柱供試体及び角柱供試体を用いた凍結融解試験を行い、凍結融解による劣化度がコンクリートの力学特性に及ぼす影響に関する検討を行った。圧縮強度及び引張強度は,凍結融解作用により生ずる膨張ひずみが大きいほど低下するが、ひび割れ発生後の軟化曲線は劣化していないものよりもより緩やかになることを明らかにした。2)塩化物イオンを浸透させないセメントの開発の為、セメントの化学組成の影響を化学組成の異なるセメントを用いて検討した。拡散係数は急速塩分浸透試験装置(ASTM C 1202)に順じた装置を試作して求めた。早期材齢では、早強セメントの方が積算電流値が小さく、塩化物イオンの拡散が抑制される傾向が認められた。3)音響モニタリングデータを用いて、鋼橋の損傷同定あるいは健全度診断を行う技術について検討した。鋼橋の主桁と横溝を模した実験供試体を用いてサウンドスペクトルを求め、フラクタル次元解析を行った。フラクタル次元と損傷度について整合性のある結果を得た。 (3)冬季における交通行動と事故:1)非常時における交通行動のシミュレーション開発を試みた。交通行動を起こして目的を達成することによって得られる便益が存在するものと仮定し、さらに時間費用の増大による交通行動の中止も念頭に置いた非常時における自動車交通行動モデルの構築を行った。2)北海道では正面衝突による重大事故が多く、冬期の2車線道路で発生している。運転者は気づいているにもかかわらず、事故となったケースが非常に多くなっていた。路面表面のすべりとわだちの影響が、対向車線に飛び出すことに影響しており、冬期における路面管理が安全にとって非常に重要であることを指摘できた。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 小幡 卓司, 植田 康平, 宮森 保紀, 林川 俊郎, 佐藤 浩一: "鋼橋の損傷同定における音響モニタリングの適用に関する基礎的研究"応用力学論文集. Vol.5. 827-836 (2002)
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[Publications] 橋本 雄一: "ブール代数分析による農業集落データの質的比較"GIS-理論と応用. 10-2. (2002)
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[Publications] M.Hasan, K.Nagai, Y.Sato, T.Ueda: "Tensile stress-Crack width Model for plain concrete damaged by freezing and thawing action"コンクリート工学年次論文集. Vol.24 No.2. 109-114 (2002)
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[Publications] 奥山 英俊, 佐藤 靖彦, 進藤 邦夫, 成田 義昭: "凍結融解により劣化したコンクリートの圧縮特性"第57回土木学会年次学術講演会講演概要集. 1091-1092 (2002)
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[Publications] 三井 雅弘, 多和豊春, 吉田 行, 田口 史雄: 第58回土木学会年次学術講演会講演概要集. (発表予定). (2003)
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[Publications] 梶井善徳, 加賀屋誠一, 内田賢悦, 中山義光: "地域ITシステム整備における効用最大化問題適用に関する研究"日本地域学会第39回年次大会学術発表論文集. 39. 335-340 (2002)
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[Publications] 加賀屋誠一, 久保田又秋, 内田賢悦, 萩原亨, 原文宏: "地域除排雪計画へのNPO参加可能性に関する研究"寒地技術論文・報告集. No.18. 594-599 (2002)
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[Publications] 加賀屋誠一: "循環型社会形成のための建設リサイクル確立をめざして"北の交差点. Vol.12. 4-8 (2002)
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[Publications] 渡辺一功, 萩原亨, 伊藤芳雄: "冬期における正面衝突事故の傾向と要因の分析"寒地技術論文・報告集. No.18. 7-12 (2002)
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[Publications] 内田賢悦, 若山裕司, 加賀屋誠一, 萩原 亨: "旅行時間価値を考慮した災害時における交通行動に関する研究"土木計画学研究・講演集. Vol.26(CD-ROM). (2002)
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[Publications] 内田賢悦, 若山裕司, 加賀屋誠一, 高橋尚人: "交通行動の中止を考慮した災害時における交通ネットワークモデルに関する研究"土木学会北海道支部論文報告集. No59. 690-693 (2003)