臨界点近傍における気体分子間力特異性に着目した新型ガスタービンサイクルの実証研究

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14208059
• Research Institution: Tokyo Institute of Technology
• Principal Investigator: 加藤 恭義 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (50323837)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 加藤 之貴 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (20233827) ; 仁田脇 武志 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (60323838) ; 吉澤 善男 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (00016627)
• Keywords: 二酸化炭素 / ガスタービン / 臨界点 / 熱交換器 / 伝熱流動試験装置

Research Abstract

ガスタービンは、蒸気タービンより、遥かに小型で、系統構成が簡素化され、運転も容易になるので、ガスタービンを採用した原子炉は小型でも大型炉並みの経済性が期待される。ガスタービンの発電効率は、タービン入口温度を上げことでタービン仕事を増加させること及び圧縮時にガス温度を35℃程度に下げることで圧縮仕事を低減させること、により改善されてきた。現在、高温ガス炉の原子炉出口温度は850〜900℃に達し、炉材料の面での上限に近い。
一方、圧縮仕事は、一般に臨界点近傍で気体の分子間力が急増し、最高で1/5程度に急減する。CO_2をガスタービンの作動流体に採用すると、(Heは臨界温度が極めて低いため困難であるが)、臨界点(31℃、7.3MPa)近傍で圧縮作業が行え、圧縮仕事の低減が可能となる。その結果、CO_2ガスタービン炉は、Heガスタービン炉と比較して、サイクル熱効率が4〜6%高く、原子炉出口温度が800℃でもサイクル熱効率は51.4%となる結果が得られた。
ガスタービン炉の主要な機器は、炉心を除けば、ターボ機器(タービン、圧縮機)と熱交換器(前置・中間冷却器、再生熱交換器)である。CO_2ガスタービン炉では、ターボ機器の重量は、He炉の場合の約1/5となり、熱交換器のサイズは、PCHE (Printed Circuit Heat Exchanger)型を採用すること等で、He炉とほぼ同等にできると評価された。そこで、発電コストは、ターボ機器が小型化され発電効率が高くなる分、CO_2炉の方が低くなる。しかし、現状、CO_2の臨界点近傍における伝熱流動特性に関し十分な知見や信頼性の高いデータがない。そこで、CO_2の臨界点近傍等における伝熱流動特性などのデータ取得を図ることを目的とし、PCHE (Printed Circuit Heat Exchanger)型熱交換器模擬試験体を組み込んだCO_2サイクル模擬試験装置を設計・製作した。次年度に、本試験装置を用いPCHE型再生熱交換器の効率を評価し、CO_2ガスタービンサイクルにおける高サイクル熱効率を検証することをめざして、予備試験を開始した。

Research Products

• [Publications] Y.KATO, T.NITAWKI: "Zero Burnup Reactivity Core for CO_2Gas Turbine Fast Reactor"Trans. Am. Nucl. Soc.. 295. 1885-1887 (2003)
• [Publications] Y.MUTO, T.NITAWKI, Y.KATO: "Comparative Design Study of Carbon Dioxide Gas Turbine and Helium Gas Turbine for HTGR Power Plant"Proc. 2003 Intl. Congress on Advanced Nuclear Power Plants (ICAPP'03), Cordoba, Spain, May 4-7, 2003. 3260. 1-18 (2002)
• [Publications] Y.KATO, T.NITAWKI, K.FUJIMA: "Zero Waste Heat Release Nuclear Cogeneration System"Proc. 2003 Intl. Congress on Advanced Nuclear Power Plants (ICAPP'03), Cordoba, Spain, May 4-7, 2003. 3313. 606-609 (2002)
• [Publications] Y.KATO, T.NITAWKI, Y.Muto: "High Thermal Efficiency Nuclear Cogeneration System with Carbon Dioxide Cycle"Proc. 4th Intl. Conf. on Nuclear Options in Countries with Small and Medium Electricity Grids, "Dubrovnik, Croatia, June 16-20, 2002. 88. 229-234 (2002)
• [Publications] Y.KATO, T.NITAWAKI, Y.YOSHIZAWA: "A Carbon Dioxide Direct Cycle with Partial Condensation for Nuclear Reactors"Proc. Intl. Congress on Advanced Nuclear Power Plants (ICAPP), Hollywood, Florida, U.S.A., June 9-13, 20O2. 57. 274-281 (2002)
• [Publications] Y.KATO, T.NITAWKI, Y.Muto: "Comparison of Cycle Efficiency, Turbine Efficiency and Recuperator Heat Transfer Surface Area between Direct Cycles of Carbon Dioxide and Helium"Proc. 1^<st> Int. Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology. HTR 2O02, Petten, Netherlands, April 22-24, 2O02. 57. 746-753 (2002)