2003 Fiscal Year Annual Research Report
マウス初期胚におけるp53依存性S期抑制と放射線誘発非標的・遅延ゲノム不安定性
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14208067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丹羽 太貫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80093293)
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Keywords | ゲノム防御機構 / マウス初期胚 / 遅延アポトーシス / 遅延細胞周期抑制 / p53依存性Sチェックポイント / p21 / ATM / PCNA |
Research Abstract |
照射精子受精卵と初期胚におけるp53依存性ゲノムクロストークとゲノム不安定性について研究を行い、以下の結果を得た。まず通常の培養細胞などでの解析では知られていなかったp53依存性のSチェックポイントの存在が明かになった。興味深いことに照射精子で受精しても初期発生に遅延は見られず、32細胞期ころにようやく遅延が見られるようになる。これに呼応して、通常の体細胞ではp53の下流にあって転写活性化を通じて機能するp21は、照射精子受精卵において16-32細胞期になってようやく発現が始まる。さらにアポトーシスも遅延的に活性化され、胚盤放期において内細胞塊の細胞にようやく認められるようになる。これらの表現型は、p53-/-やp21-/-の照射精子受精卵では見られない。以上の結果は、p53の下流にあるゲノム防御機構には階層性があり、それらは発生の時期で異なることを示している。すなわち、p53依存性Sチェックポイントは1細胞期から機能しており、その下流のp21による細胞周期の遅延は32細胞で機能するようになる。さらにp53により活性化されるアポトーシスの系は、内細胞塊になって初めて機能するようになる。以上のゲノム防御機構の階層性と遅延的に誘導されるゲノム不安定性は、本研究により世界ではじめて明らかになったものである。 これらの成果に加えて、線維芽細胞を用いた研究から、p53依存性Sチェックポイントには、p53のDNA結合ドメインが関わることが明らかになった。さらにp53依存性Sチェックポイントには、ATM下流で働くp53依存性のPCNAのリン酸化が関与しており、現在この分子機構について解析している。 さらにこれまでの解析から、p53欠損マウスについてのpink-eye dunstable alleleの復帰突然変異の解析から、p53依存性の放射線応答が、照射精子受精における胎児発生期での相同組換え突然変異の誘発に必要であることが明らかになっている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Satish Kumar Adiga: "Delayed activation of p21 and its protective role in preimplantation stage mouse embryos fertilized with irradiated sperm."発表予定.
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[Publications] 丹羽太貫: "The D5Mit7 locus on mouse chromosome 5 provides resistance to g-ray induced, but not N-methyl-N-nitrosourea-induced thymic iymphomas."Carcinogenesis. 143-148 (2004)
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[Publications] 丹羽太貫: "Intragenic deletions of Rit1/Bcl11b tumor suppressor gene in g-ray-induced thymic lymphomas and normal thymus caused by V(D)J recombinase activity."Carcinogenesis. 25. 1-7 (2004)
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[Publications] 丹羽太貫: "Induced genomic instability in irradiated germ cells and in the offspring ; reconciling discrepancies among the human and animal studies."Oncogene. 22. 7078-7086 (2003)
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[Publications] 丹羽太貫: "Bcl11b is required for differentiation and survival of ab T lymphocytes."Nature Immunol.. 4. 533-539 (2003)
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[Publications] 丹羽太貫: "Mapping of genetic modifiers of thymic lymphoma development in p53-knockout mice. 333"Oncogene. 1098-1102 (2003)