2003 Fiscal Year Annual Research Report
動物ミトコンドリアの特殊性を活用した遺伝情報翻訳システムの基盤原理の解明
Project/Area Number |
14208077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 公綱 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00134502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 高史 岡山大学, 工学部, 講師 (80321735)
鈴木 勉 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (20292782)
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Keywords | ミトコンドリア / tRNA / アミノアシルtRNA合成酵素 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
本研究は翻訳過程における未解決の根本問題を、動物ミトコンドリア(mt)の翻訳装置の特殊性を活用することにより解明しようとするものである。本年度は、ミトコンドリアtRNAの最小必須構造を明らかとするため、大腸菌発現系を用いたミトコンドリアtRNAの大量発現系を構築した。固相化DNAプローブ法を用いた精製法を確立し、最終的に6Lの培養液から約6mgのミトコンドリアtRNAS^<Ser>UGAを得た。ミトコンドリアセリルtRNA合成酵素との複合体の結晶化を検討したところ、硫酸アンモニウムを沈殿剤として用いた系で針状の結晶が得られた。SDS-PAGEで確認したところ、tRNAと酵素の複合体であることを確認した。今後は更なる結晶化の条件検討を継続し、構造解析に適した結晶を得る事を目標にする。また、ミトコンドリアのセリルtRNA合成酵素の単体に関しては、デンマークのNyborg博士との共同研究により、良質の結晶を得る事に成功した。放射光を用いた構造解析によって1.6Åの高分解能で反射が得られた。位相に関しては、分子置換法を用いて決定した(解析には産総研つくば生物情報解析研究センター原田一明博士と北大田中勲教授にお世話になった)。現在1.8Åの解像度で立体構造が得られている。この結果は、ミトコンドリアのARSとしては初めての結晶構造であるだけでなく、在解かれているアミノアシルtRNA合成酵素の中で最も解像度の高い解析結果となった。分子約5万Daのホモダイマーで、C末の触媒中心には基質であるセリンとATPが反応したセリルアデニレートがはっきりと観測することができた。このことはSerRSがtRNAとの相互作用とは無関係にアデニレートを形成できることを示している。また、興味深いことに、アミノ酸配列レベルではホモロジーの低かったN末のドメインに、すでに構造が解明されている好熱菌の酵素と同様、特徴的な長いαヘリックスが存在していた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kamiya, N., Tanaka, T., Suzuki, T., Takezawa, T., Takeda, S., Watanabe, K., Nagamune, t.: "S-peptide as a potent peptidyl linker for protein crosslinking by microbial transglutaminase from Streptomyces mobaraensis"Bioconjugate Chemistry. 14. 351-357 (2003)
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[Publications] Nakai, Y., Umeda, N., Suzuki, T., Nakai, M., Hayashi, H., Watanabe, K., Kagamiyama, H.: "Yeast Nfs1p is involved in thio-modification of both mitochondrial and cytoplasmic tRNAs"J.Biol.Chem.. (In press). (2004)
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[Publications] Hino, N., Suzuki, T., Yasukawa, T., Seio, K., Watanabe, K., Ueda, T.: "The pathogenic A4269G mutation in human mitochondrial tRNAIle alters the T-stem structure and decreases the binding affinity for elongation factor Tu"Genes Cells. 9. 243-252 (2004)
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[Publications] Terasaki, M., Suzuki, T., Hanada, T., Watanabe, K.: "Functional compatibility of elongation factors between mammalian mitochondrial and bacterial ribosomes : characterization of GTPase activity and translation elongation by hybrid ribosomes bearing heterologous L7/12 proteins"J.Mol.Biol. 336. 331-342 (2004)
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[Publications] Soma, A., Ikeuchi, Y., Kanemasa, S., Kobayashi, K., Ogasawara, N., Ote, T., Kato, J., Watanabe, K., Sekine, Y., Suzuki, T.: "An RNA-modifying enzyme that governs both the codon and amino acid specificities of isoleucine tRNA"Mol Cell. 12. 689-698 (2003)
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[Publications] Kurata, S., Ohtsuki, T., Suzuki, T., Watanabe, K.: "Quick two-step RNA ligation employing periodate oxidation"Nucleic Acids Res.. 31. 145 (2003)
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[Publications] 鈴木 勉, 桐野陽平, 渡辺公綱: "RNA修飾異常と疾患"細胞工学(9月号)(秀潤社)特集「リボヌクレオーム:機能性RNAが活躍する転写後の世界」(監修鈴木 勉). 969-973 (2003)