2002 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体機能異常による神経細胞死の分子メカニズム解明とその制御法開発
Project/Area Number |
14208093
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
今泉 和則 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (90332767)
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Keywords | 小胞体ストレス / 神経細胞死 / カスペース / 神経変性疾患 / 転写因子 |
Research Abstract |
実施計画に基づき、以下の研究を行った。 1.カスペース12の活性化による細胞質へのデスシグナル伝達メカニズム;小胞体局在性の細胞死実行分子であるカスペース12のデスシグナル伝達機構を理解するため、酵母Two-hybrid法により結合タンパク質を検索した。その詰果、2つの候補遺伝子の取得に成功した。すなわち、RanBPMと新規ESTクローンである。両者はカスペース12の活性中心が存在する領域近傍に結合すること、および動物細胞内でもカスペース12との結合能力を有することが明らかになった。 2.小胞体ストレス依存的に発現誘導する遺伝子の細胞死誘導メカニズム;PCR-Selected subtraction法を用いた遺伝子スクリーニングにより小胞体ストレス時に誘導する遺伝子の探索を行った。その結果、発現上昇する遺伝子として14種類を同定した。そのうちから新規遺伝子MDG1/ERdj4の解析を行った。この遺伝子がコードする蛋白質はN末端側にJドメインを有しており、ヒートショック蛋白質群の活性制御に関与すること、細胞にMDG1/ERdj4を発現させておくと小胞体ストレスに対して抵抗性を示すようになることがわかった。以上の結果から、MDG1/ERdj4は小胞体ストレスに応答して発現誘導し、GRP78/BiPと協調して異常蛋白質の折り畳みを促進し、細胞傷害から保護する役割を果たしている可能性が示唆された。 3.小胞体ストレスのシグナル伝達に重要な膜貫通型転写因子の機能解析;この膜結合型転写因子が小胞体ストレスの際に膜近傍で切断され、N末端断片が核に移行することを明らかにした。また、興味深いことにこの遺伝子は転写レベルで発現上昇することもわかった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kurisu, j., Honma.A., Miyajima, H., Kondo, S., Okumura, M., Imaizumi, K.: "MDG1/ERdj4, an ER-resident DnaJ family member, suppresses cell death induced by ER stress"Genes to Cells. 8・2. 189-202 (2003)