2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子のシナプス後グルタミン酸及びGABA受容体への作用機序
Project/Area Number |
14208094
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
津本 忠治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50028619)
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Keywords | 脳 / 神経栄養因子 / 培養神経細胞 / シナプス / 抑制性ニューロン / GABA / 脳由来神経栄養因子 / 抑制性伝達物質 |
Research Abstract |
研究代表者らは、脳由来神経栄養因子(Brain-Derived Neurotrophic Factor,略称BDNF)が、神経活動とともにシナプス前部よりシナプス後部へ移行することを2001年に見出した。 本研究は、このように移行したBDNFがシナプス後部でグルタミン酸及びγ-aminobutyric acid(GABA)受容体にいかなる作用を示すかを調べ、さらにその作用メカニズムの解明を目指すものである。本年度は、大脳皮質における主要な抑制性神経細胞であるGABAニューロンに存在するグルタミン酸受容体機能へのBDNFの作用解明を目ざした。その結果、以下の結果を得た。 1.GABAニューロンが緑色蛍光を発するGAD67-GFPノックインマウスから大脳皮質視覚野の急性スライス標本を作成した。 2.皮質IV層を刺激することによってII/III層のGABAニューロンに誘発される興奮性後シナプス電流(Excitatory postsynaptic currents,略称EPSC)を記録し、BDNF急性投与の効果を観察した。その結果、EPSCの振幅が低下することが明らかとなった。 3.IV層に種々の間隔の2発刺激を与え、それによって誘発される2つのEPSC振幅の比(paired-pulse ratio)を算出し、BDNF投与群とコントロール群を比較した。その結果、BDNF投与後も、paired-pulse ratioには有意な差はみられなかった。 4.以上、BDNFはGABAニューロンへの興奮性シナプス伝達を急性的に抑制すること、及びこの抑制はシナプス後部への作用であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)