2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の力学的応答機構に果たすインテグリンの役割
Project/Area Number |
14208100
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 正明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 俊朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30270812)
松本 健郎 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30209639)
羽根 一博 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50164893)
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Keywords | バイオメカニクス / せん断応力 / 内皮細胞 / アクチンフィラメント / GFP / FAT / インテグリン / 局所ひずみ |
Research Abstract |
力学的刺激を受けた血管内皮細胞が形態変化を起こす過程を明らかにするため,アクチンフィラメントと細胞膜上で連結している蛋白であるインテグリンに注目し,新しいテクニックを導入することによって流れおよび張力の刺激を与えた際のインテグリンの動きを観察,解析し,その役割を明らかにすることを目的とする. アクチンとGFP(Green Fluorescent Protein)の融合遺伝子,および接着班会合タンパク質であるFAK<Focal Adhesion Kinase)とRFP(Red Fluorescent Protein)の融合遺伝子を内皮細胞に導入し,アクチンフィラメントと細胞接着班を生細胞内で可視化し,流れ負荷に対するダイナミクスを詳細に観察した.流れ負荷装置は従来の平行平板型のものを使用し,2Paのせん断応力を負荷し、2〜10時間にわたる広範囲の時間で実験を実施した.その結果,焦点接着班の伸長,出現・消失,スライド運動が観察され,これらが内皮細胞のリモデリングに関して重要な役割を果たしていることが示唆された.焦点接着班の伸長方向とアクチンフィラメントの発達方向に相関が見られ,構造的に強く連結している様子も観察された. また,培養内皮細胞局所に異なるひずみを負荷できる装置を製作し,これを用いた伸展負荷実験によりリモデリング現象を観察した.装置としては,シリコーン膜内に剛性の高いカバーガラスを埋入してガラスの近傍にひずみ勾配を生じさせ,1個の細胞内に不均一ひずみ場を作製した.その結果,細胞内における局所的なひずみ勾配によってストレスファイバの局所的な、発達と核の偏位が観察された.このことから細胞は不均質なひずみ場を敏感に感知し,それを細胞内局所のリモデリングに反映させている可能性が示された.
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 佐藤正明: "ビタミンEの白血球粘着抑制効果および血小板擬集抑制作用"医学と薬学. 47巻3号. 457-461 (2002)
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[Publications] 加藤陽子: "MRI画像に基づいた簡便な胸部大動脈拘束条件推定方法と胸部大動脈瘤への適用"脈管学. 42巻4号. 247-253 (2002)
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[Publications] D.L.Bader: "Deformation properties of articular chondrocytes : A critique of three separate techniques"Biorheology. 39巻. 69-78 (2002)
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[Publications] U.Takeda: "Targeted disruption of dermatopontin causes abnormal collagen fibrillogenesis"Journal of Investigative Dermatology. 119巻. 678-683 (2002)
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[Publications] T.Ohashi: "Experimental and numerical analyses of Local mechanical properties measured by atomic force microscopy for sheared endothelial cells"Bio-medical Materials and Engineering. 12巻. 319-327 (2002)
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[Publications] N.Kataoka: "Measurements of endothelial cell-to-cell and cell-to-substrate gaps and micromechanical properties of endothelial cells during monocytes adhesion"Proceedings of National Academy of Science. 99巻24号. 15638-15643 (2002)
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[Publications] 佐藤正明: "培養動脈組織片の初期ひずみ状態が内皮細胞の形態および細胞骨格構造に及ぼす影響"日本機械学会論文集(A編). 69巻677号. 30-36 (2003)
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[Publications] 松本健郎: "平滑筋収縮に伴う家兎動脈壁内ひずみ分布の変化-弾性動脈と筋性動脈の比較-"日本機械学会論文集(A編). 69巻677号. 37-42 (2003)
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[Publications] 杉田修啓: "軸方向観察による血管壁の局所ひずみ分布計測"日本機械学会論文集(A編). 69巻677号. 43-48 (2003)
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[Publications] T.Matsumoto: "Analysis of stress and strain distribution in the artery wall consisted of layers with different elastic modulus and opening angle"JSME Int J, Ser C. 45巻4号. 906-912 (2002)
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[Publications] T.Matsumoto: "Local elastic modulus of atherosclerotic lesions of rabbit thoracic aortas measured by pipette aspiration method"Physiological Measurement. 23巻. 635-648 (2002)
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[Publications] N.Sakamoto: "Effect of magnetic field on nitric oxide synthesis of cultured endothelial cells"International Journal Applied Electromagnetics and Mechanics. 14巻. 317-322 (2002)
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[Publications] 大橋俊朗: "流れ刺激を受ける内皮細胞内骨格構造の実時間挙動観察"日本バイオレオロジー学会誌. (印刷中). (2003)
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[Publications] 大橋俊朗: "力学的刺激に対する血管内皮細胞の応答現象"生物物理. (印刷中). (2003)