Research Abstract |
本研究は,多用途無拘束(携帯型)循環動態連続計測・自律神経活動解析システムの開発に関する発展的研究であり,計測原理として,血圧計測に容積補償法,心拍出量計側に電気的アドミタンス法を用い,非侵襲的に一心拍毎の血圧・心拍出量を含む循環動態計測が可能となるシステムである.また,これら循環動態情報は,自律神経系の支配を受けているため,計測値に対して周波数解析などを行うことで,自律神経活動の評価・解析も可能となるシステムである.しかし,連続血圧計測において,血管壁の物理特性や組織内血液量などが計測中に大きく変化する際に誤差を生ずることや,心拍出量計測において,血液量変化が実際には,肺循環などでも起きているが,大動脈のみで起きていると仮定しているため,相対変化としての追従性は良いものの,絶対値としての信頼性が低いことが判明している.そのため本システムの誤差要因を解明し,さらなる用途拡大を目指して研究を行った. 以上のことから,血圧計測法の改善を目指し,新たに構築した制御系において,連続血圧計測(容積補償法)と直接血圧計測(観血法)の比較実験を行った結果,最高・最低血圧ともに,SD±3mmHg以内の誤差を達成した.さらに,これらのシステムを用いて,単調運転時などの生理活性度を評価する方法の開発を行い,刺激に対する連続血圧応答パターンを用いることで,生理活性度の分類が可能であることを確認した.これらの結果は,明らかに血圧変動が自律神経系の活性度に大きく依存していることを示している.また,心拍出量計測法の誤差要因の解明において,電気的アドミタンス法の前提条件である胸部電流分布の均一性を電流分布マッピング装置で確認することで,肺および心臓内血液変化により電流分布に歪みが生じていることが判明し,それら歪みの影響を受けない位置にスポット電極を用いることで,測定値に改善が見られた.
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