2002 Fiscal Year Annual Research Report
農業生態系から流入する生物元素が沿岸生態系に与える影響
Project/Area Number |
14209002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向井 宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00013590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯泉 仁 日本海区水産研究所, 部長(研究職)
波多野 隆介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40156344)
岸 道郎 北海道大学, 水産科学研究所, 教授 (90214767)
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Keywords | 河川水質 / 畜産 / 定常・非定常 / 窒素循環 / アサリ・カキ / 河川流量 / 土地利用形態 / シミュレーション |
Research Abstract |
厚岸湖へ流入する大別川水系、別寒辺牛川水系、オッポロ川水系全流域の76地点において5月に河川水のサンプリングを行ない(TN, TP, NO_3^<yntury>N, Si)を分析するとともに、各流域の土地利用(畑地(草地)、林地、市街地)を1/25000地形図から読みとった。TN, TP, NO_3^<yntury>Nの平均濃度は、0.2,0.91,0.06mg/Lであったが、大別川上流域の大規模牧場支流では、それぞれ8.23,2.48,0.62mg/Lの最大値を示したオッポロ川、別寒辺牛川、最上流森林域では、それぞれ0.00,0.27,0.01mg/Lの最低値を示し、北海道の森林渓流水濃度と同程度であった。なお、Si濃度は9〜22mg/Lであり,大別川でやや低く,そのSi/TN、Si/TPモル比は2.7、64.3以下に低下し、富栄養化の傾向にあった。 大雨時の流入物質の厚岸湖における分布と変動を明らかにするために、河川1カ所、厚岸湖5カ所、厚岸湾1カ所の合計7カ所において、降雨開始から72時間の連続採水および流速測定を行った。そめ結果から得られたパラメーターを用いて、大雨時の厚岸湖における植物プランクトン生産の応答を計算した。その結果、雨量が30mmと少なかったので、観測結果ではわれわれの仮説(定常時の陸域からの流入によって厚岸湖の生物生産が支えられており、非定常時に流入する窒素は沿岸生態系にほとんど利用されていない)を十分に説明することはできなかったが、数値モデルによるシミュレーションでは、河川からの流入量が2倍になると仮定して、河川濃率を2倍にした場合は明らかに植物プランクトンが増加するが、流量を2倍にした場合は植物プランクトンはむしろ減少することが示唆され、仮説の正当性が裏付けられた。今後は、もっと豪雨時の観測が必要である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 向井 宏: "森と海の相互作用"月刊「海洋」. 384. 389-395 (2002)
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[Publications] 飯泉 仁, 鈴木健吾: "厚岸湖生態系における安定同位対比の分布"月刊「海洋」. 384. 412-416 (2002)
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[Publications] 向井宏, 飯泉仁, 岸道郎: "厚岸水系における定常時と非定常時における陸域からの物質流入"月刊「海洋」. 384. 449-457 (2002)
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[Publications] 赤羽敬子, 岸道郎, 向井宏, 飯泉仁: "陸域からの栄養塩負荷量に対する北海道厚岸湖の生態系の応答"沿岸海洋研究. 40(2). 171-179 (2003)
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[Publications] Hayakawa, A., Nagumo, T., Kuramochi, K., R.Hatano: "Characteristics of Nutrient load in a stream flowing through a livestock farm during spring snowmelt"Soil Sci. Plant Nutri. (in press).