2003 Fiscal Year Annual Research Report
農業生態系から流入する生物元素が沿岸生態系に与える影響
Project/Area Number |
14209002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向井 宏 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00013590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯泉 仁 独立行政法人水産総合研究センター, 日本海区水産研究所, 部長(研究職)
波多野 隆介 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (40156344)
岸 道郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (90214767)
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Keywords | 栄養塩 / 流域生態系 / 河川生態系 / アマモ / 付着藻類 / カキ・アサリ / 生態系モデル / 再生産 |
Research Abstract |
河川からの流入物質が河口域の厚岸湖でどのような挙動をするかを知るために、2003年4月から12月まで毎月一回平水時、湖内20点において採水し、栄養塩、POM、クロロフィル等を測定し、分布図を作成した。別寒辺牛川流域内において、流域面積(0.9-36.0km^2)と草地率(7.4-98.1%)が異なる22点で4、7、9、11月に平水時の河川水採取を行った。硝酸濃度は別寒辺牛川本流で低く(0.06-0.16mgNl^<-1>)、大別川(0.7-2.7mgNl^<-1>)、チャンベツ川流域(0.2-0.8mgNl^<-1>)で高い傾向があった。硝酸濃度は各流域の草地率と有意な正の相関関係にあり、流域の草地が河川水の硝酸濃度上昇に寄与した。季節間の有意な濃度変動はみられなかった(P=0.99)。草地率と硝酸濃度の回帰式の傾き(0.012)は、同時期における標津川流域のそれ(0.016)より小さく、河川のもつ水質緩衝機能が流域間で異なることが示唆された。生態系モデルを作成した。アマモならびに葉上付着藻類、高次捕食者としてカキとアサリを従来の浮遊生態系の構成要素に加えた。その結果、厚岸湖内では、カキよりもアサリの摂取する窒素・リン量が多く、8〜9倍と見積もられること、アサリが存在することにより懸濁態有機物を摂取するだけでなく、植物プランクトンに大きな摂食圧をかけていること、さらに付着藻類が植物プランクトンの約2倍の栄養塩を摂取していると見積もられることなど新たな知見が得られた。また、栄養塩の再生産は従来考えられていたほど大きくはなく、アンモニウム塩については河川からの栄養塩の補給の役割も大きいこと、カキやアサリの餌料供給源としてはアマモ場が大きな役割を果たしており、アマモ場が厚岸湖内に存在する限り栄養塩の再生産の大小にかかわらず、カキ・アサリの餌供給に大差は生じないことも判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nagumo, T., K.P.Woli, R.Hatano: "Evaluating contributions of point and non-point souces of nitrogen pollution in stream water in a rural area of central Hokkaido, Japan."Soil Sci.Plant Nutr.. 50(印刷中). (2004)
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[Publications] Woli, K.P., T.Nagumo, R.Hatano: "Evaluation of the impact of paddy fields on stream water nitrogen concentration in central Hokkaido, Japan."Soil Sci.Plant Nutr.. 50(印刷中). (2004)
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[Publications] Hayakawa, A., T.Nagumo, K.Kuramochi, R.Hatano: "Characteristics of nutrient load in a stream flowing through a livestock farm during spring snowmelt."Soil Sci.Plant Nutr.. 49. 301-310 (2003)
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[Publications] Sawamoto, T., K.Kusa, R.Hu, R.Hatano: "Dissolved NO_2, CH_4, and CO_2 emissions from subsurface-drainage in a structured clay soil cultivated with onion in central Hokkaido, Japan."Soil Sci.Plant Nutr.. 49. 31-38 (2003)