2004 Fiscal Year Annual Research Report
塩湖堆積物の長鎖アルケノンなどよりみた中国西部砂漠行き古環境変動の復元の研究
Project/Area Number |
14209012
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西田 民人 名古屋大学, 環境学研究科, 助手 (60313988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田上 英一郎 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50133129)
原田 尚美 名古屋大学, 海洋研究開発機構, 研究員 (70344281)
内田 昌男 名古屋大学, 海洋研究開発機構, 研究員 (50344289)
白岩 善博 筑波大学, 生物科学系, 教授 (40126420)
原 成光 宮崎国際大学, 比較文化学部, 助教授 (50261243)
|
Keywords | 塩湖 / 中国砂漠域 / 古環境復元 / 炭素・窒素安定同位体組成 / 気候変動 / リグニン・フェノール / 完新世 |
Research Abstract |
本研究は、有機炭素/全窒素比(C/N比)、不飽和長鎖アルケノン、炭素・窒素安定同位体組成、リグニンフェノールなどの化学成分をプロキシ(Proxy、代替指標)として、中国北西部砂漠域の塩湖堆積物を対象とし、完新世中期以降の年代を中心として、古気候変動の復元を目的とした。このため中国西部砂漠域新彊ウィーグル自治区ウルムチ市南方のボステン湖(41°56.176'N,86°48.055'E、標高1030m)および中国北西部吉林省長春西方のダブス湖(44°45.20'N,123°34.30'E,標高450m)から湖底堆積物試料を採集し、化学分析を通して古気候変動の解析を行ない以下の結果を得た。 ・ボステン湖堆積物による古気候変動の解析 (1)ボステン湖における3.5kyrBP(千年前)以降のアルケノン水温は0.5〜10.1°Cの範囲で変動し、本湖周辺では寒冷温暖気候の交代が明確に存在した。特に、1)3kyrBP以前寒冷期2)2.7kyrBP〜1.5kyrPB:温暖期、3)1.5kyrBP〜現在:寒冷期に分けられた。 (2)堆積物有機物の炭素、窒素安定同位体組成の結果は、環境変動により本湖の物質循環系を大きく変動したことを示し、環境変動の記録媒体としての堆積物の重要性が指摘された。 ・ダブス湖堆積物による古気候変動の解析 (1)湖底堆積物のリグニンフェノールに関する分析結果は、本湖を取り巻く陸上植生は、現在から3kyrBPまで寒冷種の裸子植物が優先し、3kyrBP〜5kyrBPで温暖種の被子植物が優先し、植生遷移の存在を示した。 (2)不飽和長鎖アルケノンによるU^k37によるアルケノン水温はほぼ上記の気候変動を支持した。しかし、ボステン湖堆積物とダブス湖堆積物とから解読された完新世後期の寒冷温暖期にはずれを認めた。このような地域差はデータの蓄積により今後解決する。
|