2003 Fiscal Year Annual Research Report
社会性昆虫における超個体コロニーの自己・非自己識別メカニズム
Project/Area Number |
14209013
|
Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 正己 玉川大学, 農学部, 教授 (40096061)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 まみこ 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00314302)
小野 正人 玉川大学, 農学部, 助教授 (70204253)
吉田 忠晴 玉川大学, 学術研究所, 教授 (80138601)
原 健二 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (80293968)
岩崎 雅行 福岡大学, 理学部, 助手 (60151726)
|
Keywords | クロオオアリ / ミツバチ / チャイロスズメバチ / 巣仲間識別 / 体表炭化水素 / 社会寄生 |
Research Abstract |
クロオオアリ・ワーカーについて,グリア細胞の分裂が未完の脳をもつ若い個体は巣仲間学習ができないことを明らかにし、同学習能力の個体差が、脳基盤の完成度に起因している可能性を示した。次に,この現象の分子基盤を明らかにする目的で、脂溶性ホルモンの受容体遺伝子を探索した結果、エクジソンシグナルが関与している可能性をつかんだ.(原) クロオオアリの攻撃閾値を体表炭化水素を塗布したダミービーズを使って定量的に解析し、同巣炭化水素に対し異巣炭化水素に対する閾値が100倍以上低いことを明らかにした。脳内アミン類の動態解析からは,オクトパミンがアリの攻撃性を左右していることが考えられた。また,触角で発現しているChemosensory proteinのcDNAをクローニングし、この蛋白がアリの体表炭化水素を結合することを明かにした。この蛋白は、昨年見出した炭化水素感受性接触化学感覚器において、親油性の炭化水素を結合し,親水環境の受容器リンパ中を受容膜へと運ぶものと考えられた。(尾崎・山岡) 生育環境の違いによる脳の形態変化の解析法として,凍結切片法に,先に開発したオスミウム・アズール二色染色法を組み合わせる方法を確立した.(岩崎) ミツバチの巣仲間識別のメカニズムを詳細に解析するため,通常多回交尾でコロニー内のワーカーの遺伝的多様度が高くなってしまうところを,人工授精法で斉一度の高いコロニーを作った.また,吻伸展反射連合学習系を用いて,体表ワックスとそれに吸着している匂い物質の,認識指標としての役割を解析した.(佐々木,中村,吉田) 社会寄生種であるチャイロスズメバチを,その寄主であるキイロスズメバチおよびモンスズメバチに,室内で人工的に寄生させ,共同生活中の異種間での諸行動を記載するとともに,認識指標侯補の体表炭化水素類の動態を解析した.(小野)
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Kenji Hara: "Queen discrimination ability of ant workers (Camponotus japonicus) coincides with brain maturation"Brain, Bahavior and Evolution. 62. 56-64 (2003)
-
[Publications] Masato Ono et al.: "Components of giant hornet alarm pheromome"Nature. 424. 637-638 (2003)
-
[Publications] Naoko Ichikawa, Masami Sasaki: "Importance of social stimuli for the developemt of learning capability in honeybees"Appl.Entomol.Zool.. 38. 203-209 (2003)