2004 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシダーゼに対するカタラーゼ活性賦与:過酸化水素との反応の制御機構の解明
Project/Area Number |
14209019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 芳人 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10201245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 隆史 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (70332179)
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Keywords | 西洋ワサビペルオキシダーゼ / カタラーゼ / ミオグロビン / ヘム |
Research Abstract |
昨年度、ミオグロビンのミュータントを用いてカタラーゼ反応の作用機序の詳細を検討し、一般酸塩基触媒の重要性を指摘した。今年度は、シトクロームP450ファミリーの一種であるP450_<BSβ>に着目して、研究を行った。本酵素は、カルボン酸を末端に有する基質が活性部位に取り込まれると、過酸化水素を利用して基質の水酸化反応を触媒する特殊なP450である。カタラーゼと同様にcompound Iと呼ばれる活性種が生成している可能性が高く、その同定とカタラーゼ活性の有無、およびその作用機構の解明を目指し、第一段階として、発現系の検討を行った。最終的に、単離・精製に成功し、酸化型、還元型およびそのCO付加体の各種スペクトル観測を行い、それぞれの電子状態の同定を行った。 続いて、compound Iの観測を期待して、基質としてミリスチン酸を用い、反応をストップトフローによって追跡した。しかしながら、基質複合体のスペクトルのみが観測されることから、酵素と過酸化水素の反応が律速過程と結論された。そこで、基質酸化速度を限りなくゼロに落とすために、全ての水素原子をフッ素化したフルオロミリスチン酸を用いて過酸化水素との反応を上記と同条件下で行ったが、compound Iは観測されなかった。一方で、過酸化水素の消費速度が低くなっていることから、フルオロミリスチン酸が酵素の活性部位に取り込まれた時点で、疎水性環境が出来上がり、過酸化水素が活性中心のヘムに取り込まれ難い環境が出来たものと推測された。この点を確認するために、フルオロミリスチン酸と基質複合体を作成し、EPRによるヘムの電子状態を検討し、配位水が失われるなど、疎水環境にあることを確認した。 最後に、フルオロミリスチン酸存在下、過酸化水素と反応を行い、カタラーゼ活性を確認した。
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Research Products
(14 results)