2005 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシダーゼに対するカタラーゼ活性賦与:過酸化水素との反応の制御機構の解明
Project/Area Number |
14209019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡辺 芳人 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10201245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 洋 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00283151)
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Keywords | 西洋ワサビペルオキシダーゼ / カタラーゼ / P450BSβ / ヘム / 酸化 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、P450_<BSβ>を用いて酵素本来の基質以外の外来基質酸化のための条件検討を行った。最近,X線結晶構造解析によりP450_<BSβ>の詳細な構造が明らかにされた.その構造から,P450_<BSβ>の酸化活性種生成では,ヘム近傍のアルギニン残基との静電的相互作用によりヘム上方に固定化される長鎖脂肪酸のカルボキシル基が一般酸塩基触媒として機能することが重要であることが示された.したがって,長鎖脂肪酸はP450_<BSβ>の酸化基質であると同時に補助因子としての役割を担っている.長鎖脂肪酸が担う補助因子としての役割を独立させ,補助因子としてのみ機能する擬似基質をタンパクに取り込ませることが可能となれば,長鎖脂肪酸以外の基質の酸化が期待できる.今年度は,P450_<BSβ>を様々な基質の酸化が可能な有用な酵素に改変することを目的とし,補助因子としてのみ機能する擬似基質の探索とそれらにより生成される酸化活性種を利用した酸化反応制御に関して検討した. 具体的には、大腸菌を宿主とする組み換え体としてP450_<BSβ>を発現させ,カラムクロマトグラフィーにより精製した.カルボキシル基を有する様々な擬似基質存在下,グアイヤコールの一電子酸化反応をUV-visスペクトルにより検出し,一般酸塩基触媒として機能する補助因子を探索した.また,チオアニソールの一電子酸化反応を検討した.その結果、P450_<BSβ>によるグアイヤコールの酸化反応は,カルボキシル基を有する様々な擬似基質存在下で進行することが明らかとなった.アルキル鎖長の異なる一連の脂肪酸(炭素数2〜10)存在下では,ヘプタン酸が最も高い活性を示し,補助因子の構造(アルキル鎖長)により一電子酸化反応の制御が可能であった.さらに,ヘプタン酸存在下において,チオアニソールの一酸素原子添加反応が進行したことから,チオアニソールはP450_<BSβ>の基質取り込みのためのチャネルを利用してヘム近傍に到達できることが確認された.
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Research Products
(6 results)