2002 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ・バントゥ文明の技術誌的研究-博物館国際協力による、その拡大の歴史の解明
Project/Area Number |
14251011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (10192808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊関 和代 大阪芸術大学, 芸術学部, 教授 (60073285)
加賀谷 良平 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70014511)
和田 正平 甲子園大学, 人間科学部, 教授 (50110086)
佐々木 重洋 名古屋大学, 人文学部, 助教授 (00293275)
慶田 勝彦 熊本大学, 文学部, 助教授 (10195620)
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍 / 技術 / 民族誌 / データベース / 博物館 / 文化人類学 / 考古学 |
Research Abstract |
研究計画の初年度となる本年度は、まず研究代表者の吉田憲司が、主としてザンビアとマラウィを対象として、当該国の博物館との間の共同研究システム作り、ならびに資料情報共有化にむけてのサンプル・データベース作りをおこない、計画全体の運営モデルを構築した。その後、そのモデルに沿って、研究分担者の和田正平がケニア、タンザニア、池谷和信が南アフリカ、ボツワナ、アンゴラ、井関和代がカメルーン、ガボン、飯田卓がマダガスカルにおいて、同様の作業を進め、さらに加賀屋良平が言語学の視点から、バントゥ系諸言語の系統分類に向けての調査をケニア、タンザニア、ウガンダで実施した。こうした現地調査の結果は、逐次、国内研究会を開催して全体で共有し、個々の研究計画の緻密化をはかった。 共有化するデータベースについては、資料とその登録カードをともに画像で入力し、デジタル化する情報を最小限にすることで協力対象機関と合意した。また、サンプル・データベースの作成を通じて、その有効性と、各博物館が個別に進めている資料情報管理システムへの応用の実効性が確認された。次年度以降は、協力対象博物館や関係機関との連係をはかりつつ、この方式でデータベースの構築を進めることになる。 一方、あわせて実施したバントゥ系民族の指標文化についての調査では、南部アフリカにひろがる独自のキリスト教系憑霊信仰の拡散の経路について、暫定的な見通しを得るに至った。また、染織技術の比較研究から、中部アフリカにおける諸集団間の関係に見取り図も浮かび上がってきている。その他、鉄、ビーズ、呪薬、土器、仮面、住居、酒などの指標文化については、比較にむけてのデータが着実に蓄積されてきている。それらのデータの整理・分析と、その結果に基づくさらなる調査の実施が次年度以降の課題である。
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Research Products
(25 results)
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[Publications] 吉田憲司: "「音のかけら」の生む豊かな体験"『はがねの変相-金沢健一の仕事』川崎市岡本太郎美術館. 21-25 (2002)
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[Publications] 吉田憲司: "現代に生きる仮面-変身するヒーローたちの系譜"佐原監修・勝俣編『仮面-そのパワーとメッセージ』里文出版. 44-58 (2002)
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[Publications] 吉田憲司: "死者を送る-アフリカ・チュワン社会の仮面舞踊"国際協力. 565. 48-48 (2002)
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[Publications] 吉田憲司: "壮大な神話に基づくドゴン人の仮面"国際協力. 567. 46-46 (2002)
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[Publications] 熊倉功夫, 吉田憲司(編): "特集:民具と民藝"民族藝術. 18. 7-24,35-57 (2002)
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[Publications] 吉田憲司: "『再興』という名の『創造』-アフリカ、ザンビアにおける王たちの祭"網野・樺山・宮田・山本編『天皇と王権を考える6表徴と芸能』岩波書店. 273-305 (2003)
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[Publications] 吉田憲司: "ルーヴルのなかのアフリカ-文化遺産の保存と展示をめぐるポリティックス"民族藝術. 19(印刷中). (2003)
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[Publications] Kenji Yoshida: "Die Maske als Instrument : Warum Menschen sich ein zweites Gesicht schaffen"C.Geissmar-Brandi(u.a.) Gesichter der Haut. Stroemfeld Verlag. 181-188 (2002)
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[Publications] 加賀谷良平: "クヮヤ語の動詞(Verbs of the Kwaya Language)"平成11〜13年度科学研究費補助金(基盤研究(A)(2))研究成果報告書. 133-160 (2002)
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[Publications] 加賀谷良平: "クヮヤ語の呼応接辞(Concord Prefixes of the Kwaya Language)"アジア・アフリカ文法研究. 31(印刷中). (2003)
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[Publications] 加賀谷良平: "クヮヤ語の音素(Phonemes of the Kwaya Language)"アジア・アフリカ文法研究. 31(印刷中). (2003)
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[Publications] 井関和代: "チャドリー(ブルカァ)"国際協力. 563. 24-25 (2002)
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[Publications] 井関和代: "構成された布切れ-民族衣装の視点から"『構成された布切れ展』神戸ファッション美術館. 64-67 (2003)
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[Publications] 池谷和信: "内戦下にあるアンゴラの人々と暮らし"アフリカレポート. 34. 13-16 (2002)
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[Publications] 池谷和信: "石器時代人としてのサンの表象について-映像、観光、博物館展示"スチュアート編『野生の誕生』世界思想社. (印刷中). (2003)
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[Publications] 慶田勝彦: "口頭民族誌の可能性-「ルーツ」と複数のアフリカ性"文学部論叢. 75. 55-73 (2002)
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[Publications] 慶田勝彦: "妖術と身体-ケニア海岸部における翻訳領域"民族学研究. 67(3). 289-308 (2002)
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[Publications] 慶田勝彦: "受取人不在の死-水俣の魂と儀礼・口頭領域"高橋編『よき死の作法』九州大学出版会. (印刷中). (2003)
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[Publications] 慶田勝彦: "旅する憑依霊-ケニア海岸部における精霊憑依ペーポについて"こころと文化. 2(1)(印刷中). (2003)
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[Publications] 亀井哲也: "伝統と近代のずれ:ンズンザ・ンデベレの領域"リトルワールド研究報告. 19(印刷中). (2003)
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[Publications] 飯田卓: "マダガスカルの「二次葬」儀礼"『特別展 世界大風呂敷展』国立民族学博物館. 110-110 (2002)
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[Publications] 飯田卓: "地球短信29 マダガスカルのふたりの大統領"月刊みんぱく. 26(6). 13-13 (2002)
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[Publications] 飯田卓: "マダガスカル大統領選挙後の国政混乱"アフリカレポート. 36(印刷中). (2003)
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[Publications] 大塚和義, 吉田憲司(編): "再生する先住民文化-先住民族と博物館 報告書"国立民族学博物館(印刷中). (2003)
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[Publications] 池谷和信: "国家のなかでの狩猟採集民:カラハリ・サンにおける生業活動の歴史民族誌"国立民族学博物館. xxii+298 (2002)