2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310008
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
砂山 稔 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (00091702)
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Keywords | 道教 / 女性 / 西王母 / 楊貴妃 / 明眸皓歯 / 太一 / 華清宮 / 太清宮 |
Research Abstract |
1)杜甫の詩文を読み、杜甫と道教との関係を考察中である。中心は「太一」に関する信仰、「太一救苦天尊」信仰に関する問題、「太清宮」を中心とする玄宗時代の老子信仰に関わる問題等となるが、唐代に仙境とされた桃源郷の問題も看過することは出来ない。杜甫の詩文に道教に関する事柄が出てくるのは李白の影響だとする見方もあるが、必ずしもそれに止まらないものがあるという予想を立てている。杜甫の詩は、「詩史」、即ち詩による歴史と言われるが、そこに道教のことが多く出てくるとすると、それは取りも直さず、唐代社会に道教が広く浸透していた現れと見ることが出来るのではないか。 2)杜甫の詩文に良く登場する「王母」、即ち「西王母」は言うまでもなく、道教の女仙の代表的存在である。また、同時代の女性として関心を持たざるを得なかった楊貴妃は一時、女道士となったので楊太真とも言われる。楊貴妃の艶やかさは、実は当時の道教の華やかさと不可分のものと見ることが出来、道教が女性を尊重したことが楊貴妃の美貌の一世風靡と深く関わるのである。更に杜甫には、茅山派道教に連なる女仙「魏夫人」に関する言及もある。以上の事柄を含め2004年3月下旬より論文を執筆中である。 3)16年度が最終年度となるので、15年度から報告書の構想を練った。現在のところ「女仙・女冠考」とする予定であるが、まだ不確定のところもある。『よう城集仙録』『太平広記』『雲笈七籤』『列仙全伝』等の伝記の集積に工夫を加えたい。楊貴妃・魚玄機も省くことは出来ないだろう。
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Research Products
(1 results)