2004 Fiscal Year Annual Research Report
芸術作品のインタラクティヴィティに関する総合的研究:鑑賞体験の構造変化をめぐる歴史的分析
Project/Area Number |
14310019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉橋 陽一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50015278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石光 泰夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60093366)
川中子 義勝 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60145274)
長木 誠司 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50292842)
田中 純 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10251331)
一條 麻美子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30213987)
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Keywords | インタラクティヴィティ / 芸術作品 / 鑑賞者 / 総合芸術作品 / メディア / ゲーム / 情報ネットワーク / メディア・アート |
Research Abstract |
本年度は、芸術作品におけるインタラクティヴィティがもつ社会的効果について、年度ごとの枠やお互いの領域を越えて、さらに検討を加え、報告書を作成した。具体的なテーマは次の通り。 1.中世の伝説・説話が伝承されてゆく過程における語り手と聞き手の相互作用、および文字による記録が与えた変化の解明(一條)。2.中世からルネサンスにいたるポリフォニックな教会音楽における聴取経験と歌唱法の分析(川中子)。3.ルネサンスからバロック時代にかけての、ページェントや祝祭における観衆の役割と「見せ物」の社会的効果の考察(石光)。4.18世紀の市民文化成立期において、文学作品が相互に引用し関係しあってかたちづくっていた言説空間の双方向的様態の究明(杉橋)。5.19世紀における小説というジャンルの興隆や職業的小説家を生み出した社会経済的背景と「読者」の欲望が小説生産にフィードバックされる過程の分析(岩佐)。6.19世紀後半以降のインテリアのデザインをめぐる建築家と居住者との対立・協調プロセスの分析(田中)。7.オーケストラによるコンサートという聴取形態の成立過程と、作曲者、演奏者、聴衆の関係性の歴史的変化(長木)。8.中世から近世にかけての文学・音楽・美術の受容形態と、宗教による社会統合との協同・葛藤のプロセス(一條・川中子)。9.ヴァーグナーの楽劇に代表される総合芸術作品が鑑賞者に対して及ぼそうとした効果と国民国家の政治イデオロギー下における芸術の機能の分析(石光・杉橋・長木)。10.日本における集団的競技としての文芸の伝統と西洋の芸術・芸能との、双方向性の観点からの比較的考察(杉橋・田中)。11.20世紀の前衛芸術による「芸術」概念の再検討と鑑賞者の位置づけの変容、および、芸術やゲームにおけるインタラクティヴィティと産業技術や社会経済的諸条件との結びつきの解明(長木・田中・岩佐・石光)。
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Research Products
(7 results)