2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期における視覚認知機能に基づく知的発達の予測
Project/Area Number |
14310037
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細川 徹 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60091740)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125571)
本田 仁視 新潟大学, 人文学部, 教授 (50124623)
内山 伊知郎 同志社大学, 文学部, 教授 (00211079)
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70280774)
|
Keywords | 乳幼児 / コホート研究 / 発達検査 / 選好注視 / 眼球運動 / 自己受容感覚 / 自己認知 / K-ABC |
Research Abstract |
本研究の目的は、乳幼児期の発達諸検査、選好注視及び自己受容感覚のデータから後年の知的機能の水準と偏りを予測することの可否について明らかにすることであった。 1.生後3〜10ヵ月の男女幼児39名に日本版デンバー式発達スクリーニング検査(JDDST-R)とベイリー式乳幼児神経発達スクリーニング検査(BINS)を実施し、約3年後の3歳6ヶ月時点でのK-ABC心理・教育アセスメントバッテリー検査結果との関係を調べたが、尺度得点間の有意な相関は見出されなかった。 2.同上のサンプルで、発達スクリーニング検査の各項目とK-ABCの4尺度(継時処理、同時処理、認知処理過程、習得度)との関係を性別・修正月齢を共変量として分析したところ、「玩具を引っ張ると抵抗する」、「積木をもちかえる」、「引き起こしの際、適切な筋緊張が見られる」などいくつかの項目で有意な偏相関が見出された。 3.同上のサンプルで、生後3〜10ヵ月の時点でアニメ・キャラクターを刺激とする選好注視実験を行い、VTR画像をもとに2D/3D運動解析ソフトによる眼球運動の追尾を行い位置変化を分析した。その結果、新奇刺激の選好度(%)は月齢に対してU字型曲線を示した。これは左右の提示位置とは関係がなく、選好注視の発達的変化を表すものと解釈された。しかし、この値と約3年後のK-ABCの4尺度得点との間には有意な関係はなく、U字型に変化する1歳未満児の選好注視を同質の視覚認知機能を表すものと考えることは適切ではないこと、すなわち、月齢帯によって異なる機能を反映する指標と考えるべきであることが示唆された。 4.生後9ヶ月の乳幼児35名を対象に、ムービング・ルームを用いた自己受容感覚検査と「人見知り」について調べ、約1年半後の時点での自己認知発達の評価結果と比較した。その結果、これまで感情的な側面から解釈されがちであった人見知りの現象が、鏡を見ての自己認知(self-recognition)などの認知成分と深く関連することが示唆された。
|