2004 Fiscal Year Annual Research Report
生徒の問題行動に関する日米比較研究:問題行動の促進および抑制要因の解明
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14310049
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Research Institution | Fukushima University of the National University Cooperation |
Principal Investigator |
昼田 源四郎 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (40282248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 博文 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (40114003)
中野 明徳 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (20119605)
飛田 操 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (60218716)
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 助教授 (10211476)
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Keywords | 学校ストレス / 生徒の問題行動 / 薬物乱用 / 暴力 / 引きこもり / 不登校 / リスク因子 / 攻撃性 |
Research Abstract |
福島県(FK)とテネシー州(TN)の中学生と中学教師を対象にアンケート調査を実施した。 「自分の家族は常にトラブルを抱え、うまくいっていない」と家族の機能不全を訴える生徒は、ともに3割程度あり、「家族が嫌いで早く家を出たい」という回答はFKに多く23%だった。また、FKの生徒はTNの生徒に比べ、教師や友人との間に適切な対人関係が結べずストレスを感じている者が多く、相談相手もなく孤立していた。「対教師」ストレスは、不登校の有意なリスク因子だった。他人への暴力、公共物の破壊、恐喝などを「悪くない」と肯定する生徒がFKでもTNでも1割前後いた。シンナーや薬物乱用を「悪くない」と肯定する生徒はTNで9%もあり、FKに比べ2.8倍も多かった。FKでは、「思いきり誰かを殴ってみたい」と思うことが「よくある」という回答が16%あり、「時々ある」を含めると44%の生徒が破壊・攻撃的衝動を抱いていることが示唆された。破壊・攻撃性とストレス度は正の相関をしめしたが、「ひきこもり」願望は無気力や抑うつ気分と関連していた。男子であること、暴力的なテレビやゲームの1日1時間以上の視聴は、暴力・攻撃的行動の有意なリスク因子だった。 教師用アンケートでは、「落書き」「器物破壊」「ゴミの散乱」など学校の荒れをしめす状況がTNで有意に多かった。TNでもFKでも8割以上の教師が、学習意欲の欠如した生徒の存在を指摘していた。FKでもTNでも教師にとって、対生徒関係がもっとも大きなストレス要因だった。FKにおいて学校単位で生徒と教師のストレス度の平均値を比較したところ、生徒のストレス度と教師のストレス度の間に、いくつかの側面で負の相関が認められた。つまり生徒もしくは教師のストレスの低減は、それに対する教師もしくは生徒のストレスの増加をまねく形になっており、学校システムとして不健康な均衡メカニズムが存在することを示唆する所見として注目された。
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