2003 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚障害児の読み書き能力の能力の評価と育成に関する研究
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14310050
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
四日市 章 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (20230823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 仁豪 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80265529)
鷲尾 純一 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80220854)
斎藤 佐和 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (00015819)
原島 恒夫 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (70262219)
加藤 靖佳 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (10233826)
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Keywords | 聴覚障害 / 読み / 作文 / 眼球運動 |
Research Abstract |
平成15年度は、聴覚障害児の読みと文章産出、及び作文の評価に関する研究を行った。 1.読み過程の分析 先天性重度聴覚障害児35名を対象に、説明文黙読時の眼球運動を分析し、読書力の高い群と低い群との比較を行い、平成14年度実施の物語文読み方略との比較を行った。分析は、眼球運動測定装置(竹井機器・FreeViewHMS)を用い、読みの時間、停留頻度、停留時間、回帰運動頻度、飛躍運動の距離、理解の程度を調べた。その結果、読書力の高い群は、読みの時間の減少や回帰運動の頻度や理解率の増加といった発達傾向が示された。一方、読書力の低い群では、このような発達傾向はほとんど示されず、学年に関係なく、個人差が大きいことが明らかになった。また、物語文読みに比べて抽象的かつ論理的理解が求められる説明文読みでは、読書力の高い群では、読み時間の増加と飛躍運動の距離の縮小する傾向が示されるが、読書力の低い群では、読みの時間や停留頻度・時間、飛躍運動距離などにおいて変化が見られず、個人差が大きいことが確認された 2.文章産出過程の量的分析 昨年度行った重度聴覚障害高校生の作文の分析に加え、健聴者の作文資料についての分析を行い、その結果を纏めて学会誌へ投稿を行った。さらに、これまでの研究から明らかになった、聴覚障害児の産出文データベースの作成あたって、誤答や語彙の詳細な分析を可能にするための、見出し語の定義の重要性について検討し、今後のデータベース構築の基本方針を明らかにした。また、さらなる作文資料収集を積極的に進め、聴覚障害高校生の作文の追加や、新たに、中学生、小学生段階の子どもの作文の収集を行つつ、電子化の作業を並行して行い、現在分析を進めている。 3.作文の評価の分析 作文の評価の要因を明らかにするための調査を行い、聾学校で行われている教師による作文の指導や評価方法、及び作文における生徒や教師の持つ課題について分析を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 兼子真理, 相澤宏充, 左藤敦子, 四日市章: "聴覚障害者の作文における品詞の構成"聴覚言語障害. 32・3(印刷中). (2004)
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[Publications] 鄭仁豪, 柿澤敏文, 中山哲志, 四日市章: "聴覚障害児の文章理解の方略に関する研究(I)-物語文黙読時の眼球運動の分析による検討-"日本特殊教育学会41回大会発表論文集. 217 (2003)
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[Publications] 鄭仁豪, 柿澤敏文, 中山哲志, 四日市章: "聴覚障害児の文章理解の方略に関する研究(II)-説明文と物語文黙読時にみられる眼球運動の比較による検討-"日本特殊教育学会41回大会発表論文集. 218 (2003)
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[Publications] 鄭仁豪, 柿澤敏文, 中山哲志, 四日市章: "聴覚障害児の文章理解の方略に関する研究(III)-読書力の違いに示される文章黙読時の眼球運動の分析-"日本特殊教育学会42回大会発表論文集. (発表予定). (2004)
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[Publications] 柿澤敏文, 鄭仁豪, 中山哲志, 四日市章: "聴覚障害児の文章理解の方略に関する研究(III)-読書方と文章の違いにみられる眼球運動の変化の検討-"日本特殊教育学会42回大会発表論文集. (発表予定). (2004)