2003 Fiscal Year Annual Research Report
「パーソナルコンピュータを用いた適応型言語能力診断検査」の作成
Project/Area Number |
14310059
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
高橋 登 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00188038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 知靖 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (30251614)
大伴 潔 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (30213789)
大井 学 金沢大学, 教育学部, 教授 (70116911)
小松 孝至 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (60324886)
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Keywords | 言語能力 / 語彙 / 漢字 / 文法 / 語用 / 適応型検査 / 項目反応理論 / パーソナルコンピユータ |
Research Abstract |
語彙課題に関しては,本年度は中学生版2版を作成し,中学1〜3年生約600名に実施した。また,幼児向けの課題も作成し,予備調査を保育所で実施した。漢字に関しては,小学校高学年版3版を作成し,4〜6年生約900名に実施した。これら語彙・漢字能力検査について等化を行い,共通尺度上での各項目の困難度ならびに識別力パラメタを求めた。具体的には語彙については8版240項目2485名のデータを,漢字については6版125項目2068名のデータを用い,多母集団IRT2パラメタロジスティックモデルにより項目パラメタを同時推定することで水平・垂直等化を行った。結果,モデルに適合した項目は語彙で215項目,漢字で61項目であった。検査の精度としては語彙・漢字とも低学年に対して精度の高い検査となった。漢字についてはモデルに適合しない項目が多く項目の検討などの改善が必要である。 文法について本年度は,1)格助詞・助動詞・授受動詞の使用,2)述部の意味との整合性,2)副詞の意味との整合性,4)接続詞の使用,の4側面について計30課題を設定し,小学校2,3年生を対象に実施した。その結果,主客の関係性の規定や,命題間の論理性の理解・表現において発達する過程が示された。また,内容語中心の文理解から,接続詞などの機能語がより強く文理解に関与する段階へと移行することが示唆された。語用に関しては,日本語の文脈依存・多義性研究をベースに,この面での小学生の能力を測定する枠組みを仮設し,同一言語表現の対立する解釈軸とする評定尺度を作成した。4年生から6年生まで約400名のデータを検討し,文脈に依存しない字義的解釈から文脈に依存した解釈に幅を広げる発達過程を示唆する結果を得た。
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