2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国家族の変動と適応戦略―日本との比較研究に向けて―
Project/Area Number |
14310087
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石原 邦雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00106212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田渕 六郎 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 講師 (20285076)
松戸 庸子 南山大学, 外国語学部, 教授 (30183106)
松田 苑子 淑徳大学, 社会学部, 教授 (30100986)
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Keywords | 家族 / 家族変動 / 現代中国 / 適応戦略 / 国際比較 / 都市・農村 |
Research Abstract |
1)前回の科研費による共同研究、「現代中国家族の総合的研究」(平成9・10年度)で実施した大規模調査(2都市、各800例、3農村、各300例)のデータおよびその一部についての詳細面接資料に基づく分析を進め、8月には中国側共同研究者を迎えたのを含めて研究会を積み重ね、その成果を刊行すべく別途出版助成の科学研究費の申請をするところまで到達した。 2)本年度は主に農村家族に焦点を絞り、前回の対象地のうち、揚子江の河口にある太倉と最上流にある宜賓の2地域で、前回の対象者家族約50ケースについて、7月には中国側チームが、また3月には日中共同調査チームで、フォローアップ調査を実施した。その内容の分析は次年度に繰り越すことになるが、沿海部では、急速な産業発展が、郷鎮企業による村単位の発展形態から、私営企業化の段階に進んでおり、農民(農村戸籍保持者)は生活水準上昇の中で、雇用や社会保障についての不安定性を強く意識しはじめている。他方、発展の遅い内陸部では、地域産業の進展は見られず、出稼ぎの急増という形で「適応」がはかられている。両地域とも家族生活の伝統を維持する努力と生活上の必要との絡み合いの中で、いくつかの側面で戦略的な対応パターンが抽出できるという見通しが得られた。 3)前回調査が、厳密なサンプリング調査として行われ、対象が分散している中で、今回少数ながら同一対象家族に詳細なインタビュー調査を実施できたことは、中国での調査条件、行政事情のもとでは、それ自体貴重な成果であったといえる。これは、前回調査以来緊密な協力関係を築いてきた、中国社会科学院を中心とする研究者たちとの共同研究のたまものであり、国際研究協力の成果であるといってよい。
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