2002 Fiscal Year Annual Research Report
当事者参加型リサーチによる滞日外国人コミュニティの開発
Project/Area Number |
14310090
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
横田 恵子 (有田 恵子) 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (50316022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 丈 関西学院大学, 社会学部, 講師 (30330393)
山中 京子 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (50336814)
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Keywords | ソーシャル・ディベロップメント / 当事者参加型リサーチ / 滞日外国人 / 医療・保健 / 国際情報交換 / タイ:フィリピン |
Research Abstract |
本研究では、「滞日外国人コミュニティ」を実践フィールドとし、そこにかかわる様々な利害関係者と当事者の協働によって、当事者主体の保健・医療サービスの創出を試みるとともに、その構築プロセスの分析と成果の評価を行う。 今年度は、NPO法人「Center for Health and Rights of Migrants (CHARM)」を組織化し、1.医療専門職などによる健康相談アウトリーチプログラムや、エスニックコミュニティ・メンバーのセルフヘルプ・グループの組織化など、実際のプログラム運用によってコミュニティ開発を行うとともに、2.設立メンバーに半構造化されたインタビューを行うことで、多職種・公私協働ネットワークの構築過程に関わる基底概念を抽出した。 運用するプログラムについては、単にボランタリーな活動で完結することなく既存の公的サービスとリンクさせ、既存事業の変容・活性化を図っている。この過程は、公的医療・保健サービス従事者の意識を変えることにもなった。また、正規の雇用につながることが難しいエスニックコミュニティ・メンバーが、仕事につながるような付加価値を自ら模索する場として、セルフヘルプグループは機能し始めている。 関係者へのインタビューからは、次のことが明らかになった;まず、公的機関のスタッフは「迅速で多様なサービスの創出」をネットワークに期待する。医療専門職である医師は、「病院組織の中では実現不可能なミッション優位の医療サービスを作り上げる可能性」を指摘する。エスニックコミュニティ・リーダーは「自らの経験や培ってきたインフォーマルネットワークが役立ち、同胞たちの力になる」点を指摘している。そしてソーシャルワーク従事者は、「弱者を代弁して権威や制度に対峙する、といった従来の対立型のソーシャルワークではなく、立場の違いを超えて多様なメンバーが問題解決志向の対話に向かう」点を評価している。
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