2002 Fiscal Year Annual Research Report
男女共同参画社会を支える地域子育て支援ネットワークに関する学際的基礎研究
Project/Area Number |
14310123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村山 祐一 鳥取大学, 教育地域科学部, 教授 (70314565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 直子 愛知県立大学, 文学部, 教授 (30117783)
諏訪 きぬ 明星大学, 人文学部, 教授 (70105170)
大宮 勇雄 福島大学, 教育学部, 教授 (10160623)
戸田 有一 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (70243376)
望月 彰 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (40190954)
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Keywords | 育児期生活ストレス / 保育士のストレス / 被支援感・観と支援感・観 / 育児意識 / 子育て支援 / 男女共同参画社会 / ジェンダー観 / 保育者・保育士の意識調査 |
Research Abstract |
合宿研究会を7月23〜24日、10月19〜20日、12月21〜22日、3月2〜4日と開き、この科研費調査研究の目的及び方法、親の育児ストレス、保育士の労働実態と意識、保育所・幼稚園の親の育児意識などについてのいくつかの先行調査研究について、研究の到達点と課題を総合的に検討し、それらをふまえて調査構造のあり方を討議し特に次の点を確認した。 第1,親の育児ストレスについては、諏訪・戸田等の調査で主張された「多様なストレスが複合した『育児期ストレス』」という概念をもっと積極的に発展させて、「育児期生活ストレス」と特徴づけることを確認した。虐待についてはこの育児期生活ストレスとの関連で検討することとした。 第2、保育士の労働の実態や意識についての調査が少ないことから、保育研究所の「保育所の条件と保育者の意識に関する調査」(01年12月実施、10都府県28市2村、53園対象回収率90%、保育士806人)及び鳥取大教育地域科学部保育学研究室(村山)の「鳥取県下保育士意識調査」(02年11月実施、公私立保育所100カ所保育士761人回収率75.7%)を予備調査的に位置づけて、その分析に積極的にかかわり、本調査の参考にすることとした。この2つの調査から保育士のストレスが大きいことが判明し、本調査の重要な検討課題とする。 第3,親の育児期生活ストレスと保育士のストレスについて、それぞれのストレス構造についての分析をおこない、母親の育児期生活ストレスと保育士のストレスとは子育て支援を検討するうえできわめて重要な問題であり、対比させながら検討することの必要性が確認された。 第4、本研究では子育て支援をすすめるうえで、保育士と親との意識のズレを一つの課題としている。親が子育て支援を受けるときの思い(被支援感・観)と保育士など支援をする側の思い(支援感・観)を明らかにすることが必要である。 第5、先行研究からも育児不安の一つの要因として母親育児責任論等ジェンダー観があげられている男女共同参画社会を支える子育て支援のあり方を検討するには、母親と父親とを対象にした調査が必要である。 第6、以上をふまえ、親及び保育者の調査内容の構造は、I子育て・保育の全般的状況、II信念(ジェンダー観等)、IIIリソース・サポート、IV心理・行動(イライラ感・充実感、体罰など)、Vニーズ(子育て支援への要望など)を柱として調査項目を作成する。なお、子育て支援のあり方については3月の発達心理学会で報告し、保育士の意識調査については5月の保育学会で報告予定。
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Research Products
(29 results)
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[Publications] 村山 祐一 他: "鳥取県内の保育所・幼稚園の父母の子育て意識と保育者の保育観に関する調査研究(1)"鳥取大学教育地域科学部紀要(教育・人文科学). 第3巻第2号. 173-197 (2002)
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[Publications] 村山 祐一: "規制緩和政策の動向と保育の仕事"保育研究所編「保育白書」草土文化. 2002年版. 30-42 (2002)
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[Publications] 村山 祐一: "保育所改革の課題と展望"真田 是監修「21世紀の福祉」かもがわ出版. 第2巻. 164-190 (2003)
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[Publications] 村山 祐一: "育児と保育の権利の構造についての試論"坪井節子編「乳幼児期の子どもたち」明石書店. 2-34 (2003)
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[Publications] 諏訪 きぬ: "5歳児の発達と「保育の質」"保育研究所編「保育の研究」. 第19号. 48-64 (2002)
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[Publications] 諏訪 きぬ: "子育て支援のあり方の再検討"日本保育学会編「保育学研究」. 第40巻第1号. 37-45 (2002)
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[Publications] 諏訪 きぬ: "保育者の育児意識の変容"明星大学教育学研究紀要. 第17号. 61-70 (2002)
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[Publications] 神田 直子: "子育て困難を抱える親への子育て支援のあり方"愛知県立大学児童教育学科論集. 第35号. 21-41 (2001)
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[Publications] 神田 直子: "アメリカにおける「十代の親(Teenage parents)」の問題と子育て支援-カリフォルニアの保育所つき高校を中心に"愛知県立大学文学部論集(児童教育学科編). 第51号. 31-47 (2003)
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[Publications] 神田 直子他: "子育て困難を抱える親への子育て支援のあり方(II)-「育児不安」と性別役割分業・母親役割意識の関連を中心に"愛知県立大児童学教育学科論集. 第36号. 39-53 (2003)
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[Publications] 神田 直子: "期待と課題がいっぱい-子育て支援で大切にしたいこと"保育専門月刊誌「ちいさいなかま」草士文化. 14年7月臨時増刊号. 80-89 (2002)
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[Publications] 杉山 隆一: "保育労働の現状と課題"植田章他編「社会福祉労働の専門性と現実」かもがわ出版. 82-97 (2002)
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[Publications] 杉山 隆一: "保育の民営化・市場化と保育士の専門性"保育研究所編「保育白書」草土文化. 2002年版. 72-78 (2002)
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[Publications] 杉山 隆一: "地方自体サービスのフルコスト分析をどう見るか"保育研究所編「保育情報」. 第313号. 2-6 (2003)
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[Publications] 望月 章: "学校五日制と子どもの権利"日本生活教育連盟編集「生活教育」. 第54巻4号. 4-5 (2002)
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[Publications] 望月 章: "なぜ増える?親から子どもへの暴力"日本生活教育連盟編集「生活教育」. 第55巻2号. 17-24 (2003)
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[Publications] 望月 章, 山中 京子, 谷口 泰史: "児童虐待対応システムの研究(その1)-フォーカスグループ・ディスカッションによる当面の基本課題の抽出とその分析"大阪府子ども家庭センター紀要. 第12巻. (2003)
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[Publications] 土井 洋一, 望月 章 他9名: "2001年度大阪府立大学大学院奨励特別研究報告・児童虐待への対応と子育て支援に関する調査研究"大阪府立大学社会福祉研究機構紀要. 創刊号. (2003)
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[Publications] 望月 章: "保育内容についての歴史的考察"上野恭裕・米谷光弘編「保育内容総論」三晃書房. 35-52 (2002)
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[Publications] 望月 章: "権利としての家庭教育の形成"新海英行編「現代日本社会教育史論」日本図書センター. 344-365 (2002)
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[Publications] Nicolaides, S., Toda, Y., Smith, P.K.: "Knowledge and Attitudes about School Bullying in Trainee Teachers"British Journal of Educational Psychology. 72(1). 105-118 (2002)
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[Publications] Smith, P.K., Cowie, H., Toda, Y., 18 others.: "Definitions of Bullying : a Comparison of Terms Used, and Age and G ender Differences, in a Fourteen-Country International Comparison"Child Development. 73(4). 1119-1133 (2002)
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[Publications] 森定薫, 戸田有一: "特別な教育的ニーズ(SEN)とピア・サポート-経験の類似性・同世代性・訓練の度合い-"特別なニーズ教育とインテグレーション学会『SNEジャーナル』. 第8巻. 99-117 (2002)
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[Publications] 戸田 有一: "思春期における危機への支援"須田治・別府哲編著『社会・情動発達とその支援』ミネルヴァ書房. 260-270 (2002)
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[Publications] 大宮 勇雄: "保育をめぐる<コストと質>-『発生主義を用いた地方自治体サービスのフルコストの分析』(財務省委託研究)を読む"賃金と社会保障. 1340号. 4-18 (2003)
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[Publications] 大宮 勇雄: "第三者評価事業は何を評価しようとしているのか-あまりにもあいまいな「保育の質」"保育研究所編「保育情報」. 305号. 2-6 (2002)
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[Publications] 監修:帆足英一, 編集:諏訪きぬ, 吉田弘道, 帆足暁子, 大橋愛子, 西 智子: "実習保育学"日本小児医事出版. 356 (2003)
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[Publications] 中山徹, 杉山隆一共著: "保育所の第三者評価-どこが問題か"自治体研究社. 69 (2003)
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[Publications] 許斐有, 望月彰, 野田正人, 桐野由美子編: "子どもの権利と社会的子育て-社会的子育てシステムとしての児童福祉-"信山社. 253 (2002)