2004 Fiscal Year Annual Research Report
教育課程基準の大綱化・弾力化と学校の自主性・自律性との連関性を規定する要因の研究
Project/Area Number |
14310126
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Research Institution | seinan jyo gakuin |
Principal Investigator |
中留 武昭 西南女学院大学, 人文学部, 教授 (20082901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 義幸 四天王寺国際仏教大学, 人文学部, 助教授 (60243151)
小島 弘道 筑波大学, 教育学系, 教授 (80030584)
八尾坂 修 九州大学, 大学院・人間環境学院, 教授 (20157952)
加治佐 哲也 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (40127634)
元兼 正浩 九州大学, 大学院・人間環境学院, 助教授 (10263998)
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Keywords | 学習指導要領(前回から今回の)総則 / 自主性・自律性 / 教育課程基準の大綱化・弾力化 / 教育課程行政 / 指導、助言 / アメリカのSEM(自律性) / アメリカのカリキュラムスタンダード / SEMと学校改革 |
Research Abstract |
本研究は、1998年の中央教育審議会答申(「これからの地方教育行政の在り方」」による「学校の自主性・自律性」の確立を契機にして、1977年の学習指導要領の改訂から、漸次的に進んできていた「教育課程の大綱化・弾力化」が、同じ1998年の「基準」答申においてはじめて、ワンセット化したという仮説のもとに、では双方の間に、その後どのような新たな関連性が見られるに至っているのかを、3年間かけて実証した研究成果の報告書(全504頁)である。 方法的には、まず、地方教育委員会(都道府県・教育事務所・市町村教育委員会)による教育課程行政において、前回学習指導要領の本格実施時(2002年)との比較を含めて、そこにどのような変化が見られるに至ったのか、新たに、行われた今回改訂の「大綱化・弾力化」の本格実施開始時における、委員会間、及び各委員会としての取りくみにおいては、どのような改革傾向が全体的に見られるのかを数量調査をもとに検証した。 ついで、調査対象にした各教育委員会管轄下の義務制学校と高等学校(教員)を対象に、今回は「カリキュラムマネジメント」なる新しい概念枠から、前回学習指導要領時との比較に加えて、今回のワンセット化により新たに見えてきた各学校における特色あるカリキュラム経営の実態を、これまた数量調査によって解明した。この場合、カリキュラムマネジメントとは、「各学校が、教育課程行政による裁量拡大を前提にして、特色あるカリキュラムをポシテイブな学校文化を媒介にして、創り、動かし、これを変えていく経営的な営み」を意味している。そして、このパラダイムから、カリキュラムマネジメントを構成している諸要因を明らかにして、先の学校調査の対象校から、典型校10校を抽出、事例分析を行った。全体的な傾向と事例校の間には、かなりの温度差があることが解ったが、このことは、カリキュラムマネジメントより既に先にこれまでに市民権を得ていた、「教育課程経営」なる用語のもとに行われていた実践が、事実としてかなり形骸化(形式化)してきていたことが解った。こうした点を踏まえて、カリキュラムマネジメントが効果的に進む条件を合わせて抽出した。 最後に、アメリカを典型例として、我が国と同様に学校の自律性(school-based management)と教育課程の弾力化が進められている諸外国の動向を明らかにした。アメリカについては実際のフイールドワークを行ったが、我が国で、これまでに全く紹介さえもされてこなかったアジア諸国(タイ、ラオス、マレーシア、カンボジア、香港など6ヵ国)については、世界教育改革フォーラム(第3回)でのカントリーリポートを資料として翻訳紹介した。
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