2003 Fiscal Year Annual Research Report
文字言語習得につまずく子どもの鑑別診断と指導プログラム開発の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
14310132
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
飯高 京子 上智大学, 外国語学部, 教授 (40014716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 隆行 上智大学, 外国語学部, 助教授 (80266072)
笠島 準一 上智大学, 外国語学部, 教授 (40161004)
菅原 勉 上智大学, 外国語学部, 教授 (10053654)
崎原 秀樹 鹿児島国際大学, 社会学部, 講師 (80331164)
堀口 秀嗣 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70103702)
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Keywords | 音節分解・抽出能力 / 基本および特殊音節 / 検査図版 / 叙述反応 / Token Test / 言語発達評価 / 学齢期 / 健常および知的発達遅滞児 |
Research Abstract |
今年度の課題は大別して以下の3つであった。 1)知的障害児の音節分解能力と読字能力(基本音節、特殊音節)と聴覚的記銘力の発達的関連: 知的障害児学級在籍児(小3〜中3)から過去4年間の追跡資料のある対象児18名にたいし、音韻操作課題(飯高他、2001)、幼児・児童読書力テスト(金子書房)、言語発達診断検査(田中教育研究所)などを実施した結果を比較検討した。従来、読み能力の前提には聴覚的に入力された単語の音節分解・抽出能力が必要とされる(天野、1970)。しかし、発達障害児には文字を用いた音韻操作課題を通し、読字、単語の読解、発語が促進される、別の発達過程の存在が示唆された。 2)健常児および発達障害児の絵画図版による叙述能力の抽出とその解釈: 言語発達評価のうち、3種類にしぼった絵画図版を提示し、それぞれの絵刺激提示に際して、使用することばかけ、産出発話の分析の視点について、健常年長児18名(語彙年齢:VA5〜8歳)と、彼らのVAに相当する発達障害児26名を対象として連続3年間の発達資料を検討した。その結果、約10分間で実施できる本課題が、さまざまな視点からの情報提供が可能であり、言語発達の鑑別スクリーニングテストとして有効であることが示唆された。 3)トークンテストを用いた聴知覚鑑別診断の検討: 就学前児(5:0〜6:9)でWIPPSIのFIQが80以上の113名にトークンテストを実施した結果のうち、今回「色」と「F」下位検査の誤答を検討した。「色」に関しては、「アカ/アオ」「クロ/シロ」のように音韻関与の可能性が示唆された。また「F」は、2つ以上のトークンを操作する文章が聴覚提示され、指示通り操作する課題であるが、結果はトークンの色、大きさ、トークンそのものの選択の誤りよりも、操作に関わる助詞理解に誤りが多出した。この結果により軽度発達障害児の聴理解の誤りの特徴が記憶そのものか、助詞の関係理解にあるのかを鑑別する評価法の可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 飯高京子, 崎原秀樹, 大和田千代子, 原恵子: "知的障害学級在籍児の音節分解課題に関する研究、-5音節語の音節分解が可能になるための条件の吟味"日本発達心理学会第14回大会発表論文集. 374 (2003)
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[Publications] 飯高京子, 崎原秀樹, 大和田千代子: "知的障害学級在籍児の音節分解課題に関する研究(3)"日本特殊教育学会第41回大会発表論文集. 505 (2003)
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[Publications] 崎原秀樹, 飯高京子: "中学校特殊学級在籍児に対する言語発達評価の試み(8)"日本特殊教育学会第41回大会発表論文集. 685 (2003)
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[Publications] 飯高京子, 放上清香, 吉田敬, 原恵子, 崎原秀樹, 宇野松子, 大和田千代子, 綿野香: "幼児・児童の叙述反応に関する多角的評価の試み (1)刺激図版について"第29回コミュニケーション障害学会学術講演会予講集. 76 (2003)
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[Publications] 崎原秀樹, 阿部真理, 石川和代, 野呂純子, 服部竜子, 飯高京子: "幼児の聴覚的理解の発達的変化 (6)Token Testを用いた基礎的研究:F部の誤答分析"日本発達心理学会第14回大会発表論文集. 378 (2003)
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[Publications] 小松雅彦, 荒井隆行, 菅原 勉: "韻律類型論への音響的アプローチ"音声研究. 7(3). 114 (2003)
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[Publications] 角山富雄, 上野直子, 飯高京子他(共著): "バイリンガルと言語障害"学苑社. 256 (2003)