2005 Fiscal Year Annual Research Report
文字言語習得につまずく子どもの鑑別診断と指導プログラム開発の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
14310132
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
飯高 京子 上智大学, 外国語学部, 教授 (40014716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 勉 上智大学, 外国語学部, 教授 (10053654)
笠島 準一 上智大学, 外国語学部, 教授 (40161004)
荒井 隆行 上智大学, 理工学部, 助教授 (80266072)
堀口 秀嗣 常磐大学, 人間科学部, 教授 (70103702)
崎原 秀樹 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 講師 (80331164)
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Keywords | 音韻分解・抽出能力 / 読書力発達評価 / 就学前期・学童期 / 健常および発達障害児 / 言語発達評価 / 読字障害 / 文字言語指導 / 聴覚的弁別 |
Research Abstract |
本年度は最終年度なので、下記に焦点をあて研究をまとめた。 (1)健常児の読みの発達と音韻意識との発達的関連: 1-1 健常な小学1〜6年400余名に全国読書力検査(教研式)と(a)読解能力、音韻操作課題、記銘力調査、単語や数字の呼称課題を実施し、発達的関連を調査した。また(b)異なる単位での文章読み(一文字ずつ、分節ごと、句読点ずつ)による読解能力への影響の検討を行った。 1-2 就学前の年中から小2健常児347名に対し、日本語特殊音節(拗音、撥音、長音)の聴覚的カテゴリ知覚の弁別能力と、その音の表わす単文字や単語の読み、文字単語表記、積み木による単語構成課題などにより各特殊音節の理解や表出能力の発達的様相を調査した。 (2)読み障害につまずきのある児童へ音韻意識促進をめざした実験的指導: 聴覚的情報処理能力の制約が著しく、逐字読みから文章読みへの移行が困難な小1男児に対し、読み能力と関連があるとされる音韻意識を高める音韻操作訓練をシングルケースABAデザインを用いて行った。音韻操作課題での得点上昇に伴い、文章読みの速度上昇、誤読率の低下が認められ、一事例ではあるが、音韻操作能力と読みとの密接な関連が示唆された。 (3)コミュニケーション発達評価のための方法論的検討: 3-1 「SLTAさんぽ場面」と「母子食事場面」(国立国語研)の絵画図版に対する叙述反応分析を、健常群(年長76名、小一59名)への横断調査、発達障害児3名(開始時10〜11歳)の3年間の追跡叙述資料を分析し、言語評価に関する基礎的知見を報告した(崎原ほか、2005a)。 3-2 「SLTAさんぽ場面」図版を年長、小1,小3,小5、175名に提示して叙述反応を求めた。加齢に伴ない、不特定の聴衆にむけて適切に言語で説明可能となる過程を検討し、鑑別診断の手がかりを得た(飯高、2005)。又、成人70名にも同一課題を書きことばで検討した(崎原他、2005b)。 以上の結果を日本コミュニケーション障害学会、日本音声言語医学会などに発表した。
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Research Products
(6 results)