Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 一忠 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (50092515)
丸山 宏 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (00229626)
山本 真 筑波大学, 人文社会科学研究科, 講師 (20316681)
松本 浩一 筑波大学, 図書館情報メディア研究科, 教授 (00165888)
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Research Abstract |
清朝における満・蒙の政治統合と文化変容を研究する場合,重要となるのは,清朝皇帝やモンゴル族が信奉するチベット仏教の存在である。そこで楠木は,康煕帝の側近であり,モンゴル人チベット仏教僧であるシャンナン=ドルジが,西寧に駐在し,密かに康煕帝に宛てて記した満文文書群(満文奏摺)を全訳しデータベース化し検討を加えた。その結果,(1)シャンナン=ドルジが,康煕帝より3歳年上で1651年フフホトに生まれたが,幼少より紫禁城内で康煕帝の侍従幼童として養育されたこと,(2)シャンナン=ドルジがフフホト生まれのモンゴル人としてモンゴル語を,チベット仏教僧としてチベット語を,そして幼少の頃から康煕帝の侍従幼童として養育されたことにより満洲語に堪能であったこと,(3)満洲・モンゴル・チベットの3言語に堪能な康煕帝の側近・チベット仏教僧・モンゴル人として,シャンナン=ドルジは1697-1707年の間,西寧に駐在し,満文の奏摺により,チベット仏教世界を構成するチベット・青海・ジューン=ガルに関する重要情報を秘密裏に康煕帝に報告していたこと,以上の3点を明らかにした。片岡は,清朝時代における満・蒙・漢の政治統合に関する認識が,近現代中国の「西北」地域研究の中にどのように継承されたか,忘却されたかを検討した。丸山は,中国北方のツングース系少数民族であるエヴェンキ族の宗教儀礼と清朝宮廷で行われた満洲族の宗教儀礼との関係を検討した。山本は,江寧(南京)周辺の旗人の資産が清末においてどのような情況であったか,またそれが近現代中国においてどのように扱われたかを検討した。松本は,引き続き,本研究の比較軸として,宋朝の都市の祭祀の変遷に着目し,王朝と都市社会が与えた影響を分析した。
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