2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14310225
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
影山 太郎 関西学院大学, 文学部, 教授 (80068288)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 洋子 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (00187650)
岸本 秀樹 関西学院大学, 文学部, 教授 (10234220)
浦 啓之 関西学院大学, 文学部, 助教授 (40283816)
小林 英樹 群馬大学, 教育学部, 助教授 (60312865)
由本 陽子 大阪大学, 言語文化部, 助教授 (90183988)
|
Keywords | 語彙 / 統語論 / 形態論 / 語彙概念構造 / 複合語 / 項の継承 / アスペクト / 接辞 |
Research Abstract |
平成14年度は,(A)日英語の基本的資料の充実と(B)理論の深化を目指した。(A)に関しては,英語はCollins社COBUILD CorpusとBritish National Corpus,日本語は新聞や雑誌から相当量のデータをコンピュータに取り込んだ。 (B)に関しては,申請書の計画に沿って次のような成果を得た。 (1)語彙情報の画定:[影山]複合語における項の継承が語彙概念構造(LCS)および特質構造に依存することを明らかにした。[由本]接頭辞re-の継承に関する問題をLCSで解明した。 (2)語彙的意味と構文的意味:[影山]ある種の副詞句の意味がLCSで処理できる可能性を示した。[由本]語彙的複合動詞のLCS表示を精緻化した。[板東美智子]動詞の語彙情報にテンス・アスペクトや名詞との共起関係などの統語情報を加えることを考察した。 (3)語彙の生成力と意味拡張:[松村宏美]心理動詞,心理名詞,心理形容詞の相互関係,およびその意味拡張をLCSおよび生成語彙の理論で考察した。 (4)語の形態構造:[杉岡]名詞化の形態制約と統語的・意味的制約を分析し,規則の生産性を支える複数の要因を解明した。[小林]「朝日新聞主催(の展覧会)」のような他動詞主語と動名詞の結合が語と句の二面性を持つことを明らかにした。 (5)語彙と統語のモジュール性:[影山](1)自動詞のみに関わるとされる非対格性が他動詞にもあることを明らかにした。(2)異常受身文,中間構文,再帰構文などのヴォイス現象に出来事項が関与することを突き止めた。[浦]統語部門と形態部門におけるアスペクト(進行,完了)の重要性を考察した。[岸本]存在・所有動詞の他動性と統語構造の関係,および不定代名詞の意味と統語構造との関係を解明した。[由本]統語的複合動詞と語彙的複合動詞の差異が各々の派生の仕方に起因することを示した。
|
Research Products
(21 results)
-
[Publications] 影山太郎: "非対格構造の他動詞--意味と統語のインターフェイス--"伊藤たかね(編)『文法理論:レキシコンと統語』東京大学出版会. 119-145 (2002)
-
[Publications] 影山太郎: "概念構造の拡充パターンと有界性"日本語文法. 2・2. 29-45 (2002)
-
[Publications] 影山太郎: "動詞意味論を超えて"月刊『言語』. 31・12. 22-29 (2002)
-
[Publications] 影山太郎: "語彙と文法"斎藤倫明(編)『朝倉日本語講座4:語彙・意味』朝倉書店. 170-190 (2002)
-
[Publications] 影山太郎: "動詞の意味が時制に影響する"英語教育. 51・7. 20-23 (2002)
-
[Publications] Kageyama, Taro, Ura, Hirioyuki: "Peculiar Passives as Individual-Level Predicates"言語研究. 122. 181-199 (2002)
-
[Publications] 影山太郎: "I slept all the way to Tokyo構文における副詞句の概念構造"英米文学. 47・1/2. 305-319 (2003)
-
[Publications] 影山太郎: "「東京までずっと寝ていた」という構文の概念構造"国文學. 48・4. 37-44 (2003)
-
[Publications] 影山太郎: "動作主属性文における他動詞の自動詞化"村田勇三郎(編)『市河賞36年の軌跡』開拓社. 273-282 (2003)
-
[Publications] Kageyama, Taro: "Conceptual Cloning : The Semantic Licensing of Adjuncts and Nonselected Arguments"Japanese/Korean Linguistics II. CSLI Publications. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Kageyama, Taro: "On the Role of the Event Argument in Passive, Middle, and Reflexive Constructions"Proceedings of LP2002. Charles University Press. (印刷中). (2003)
-
[Publications] Ura, Hiroyuki: "A Minimalist Speculation on the Nature of Syntactic Relations"英米文学. 48・4. 320-335 (2003)
-
[Publications] Ura, Hiroyuki: "Syntactic Features"International Encyclopedia of Linguistics. Oxford University Press. 119-145 (2003)
-
[Publications] 浦 啓之: "構成素構造を廃した公理論的統語理論に向けて"村田勇三郎(編)『市河賞36年の軌跡』開拓社. (印刷中). (2003)
-
[Publications] 岸本秀樹: "日本語の存在・所有文の文法関係について"伊藤たかね(編)『文法理論:レキシコンと統語』東京大学出版会. 147-171 (2002)
-
[Publications] 岸本秀樹: "複合不定代名詞の句としての性質"英語青年. 148・12. 762-763 (2002)
-
[Publications] 杉岡洋子: "形容詞から派生する動詞の自他交替をめぐって"伊藤たかね(編)『文法理論:レキシコンと統語』東京大学出版会. 91-116 (2002)
-
[Publications] 由本陽子: "語彙概念構造の組み替えを伴う統語的複合語-「V+合う」を中心に"伊藤たかね(編)『文法理論:レキシコンと統語』東京大学出版会. 61-89 (2002)
-
[Publications] 小林英樹: "漢語複合動詞をめぐって"語学と文学. 39(印刷中). (2003)
-
[Publications] 影山太郎: "ケジメのない日本語"岩波書店. 155 (2002)
-
[Publications] 伊藤たかね, 杉岡洋子: "語の仕組みと語形成"研究社. 212 (2002)