2003 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける行政の改革(Modernisierung)の法学的研究
Project/Area Number |
14320007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木佐 茂男 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30122039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 静雄 國學院大學, 法学部, 教授 (30190094)
山本 隆司 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (70210573)
本澤 巳代子 筑波大学, 社会科学系, 教授 (70200342)
白藤 博行 専修大学, 法学部, 教授 (90187542)
高橋 明男 大阪大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (60206787)
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Keywords | ドイツ / 行政改革 / ニュー・パブリック・マネジメント / 規制緩和 / 法治国家 / 行政学 / 行政法 |
Research Abstract |
本研究は、ドイツの行政実務、行政学や行政法学で盛んに用いられる「Modernisierung(一般には、近代化ないし現代化という訳語が当てはめられる)」なる用語の意義・内容を明確にして、日本の行政改革論に対するヒントを得ることを目的とした。すなわち、この「Modernisierung」で形容される諸改革が、近時の日本で、頻繁に実務で実践され、学説・実務書でも解説される英米系の言葉であるNPM(ニュー・パブリック・マネジメント)とどう異なっているのかを、主として、行政法学の観点から、総合的に検討し、NPM理論と「Modernisierung」理論との差異を明確にした上で、行政法学としての有用性、射程距離を見定めるというところにあった。その作業の成果を最大化するため、ドイツの著名行政法研究者であるピチャース教授(シュパイヤー行政大学院)に研究協力者として入っていただき、同教授の大量の業績の一端を訳出するとともに、各共同研究者が得意とする分野ごとに、ドイツ型改革(Modernisierung)の意味内容を確定しようとした。そのために、研究初年度(2002年度)はドイツ派遣を進め、最終の本年度は、予め国内研究員で共同研究会を開催し、準備活動を経た上で同教授を日本に招聘し、集中した議論を2003年10月に3日間にわたって行い、また、締めくくりとして総括的な研究報告を九州大学大学院法学研究院で行っていただいた。これにより、ドイツでは研究者間において見解の相違はあるものの、一般的に言って、実務においてもいわゆる現代化(Modernisierung)なる用語は「改革」とでも訳すべきであるが、それよりも広い含意を持つこと、ドイツでは基本法(憲法)の定める社会的民主的法治国家の理念を実現するために、単なる規制緩和や民間委託などとは異なった意味で理解され、実践されていることが明らかになった。本研究の個別研究や翻訳論文はそのことを詳細に明らかにするものである。
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Research Products
(21 results)
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[Publications] 木佐茂男: "なぜ、自治体は国と争ったのか-過去を検証し、分権時代の「法的対話」を考察する"地域政策. 9号. 8-14 (2003)
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[Publications] 木佐茂男: "合併は最善の選択か"町村週報(全国町村会、2003年12月1日号). 2461号. 2-5 (2003)
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[Publications] 木佐茂男: "国・自治体間紛争の法的解決"分権の光集権の影(木佐茂男, 五十嵐敬喜, 保母武彦編)(日本評論社). 51-52 (2003)
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[Publications] 木佐茂男: "地方議会の現状と活性化の方策"分権の光集権の影(木佐茂男, 五十嵐敬喜, 保母武彦編)(日本評論社). 241-253 (2003)
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[Publications] 山本隆司: "工業製品の安全性に関する非集権的な公益実現法構造"ジュリスト. 1245号. 65-81 (2003)
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[Publications] 山本隆司: "開かれた法治国(Offner Rechtsstaat)"公法研究. 65号. 163-174 (2003)
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[Publications] 藤原静雄: "個人惰報保護法制の国際比較-民間部門を中心として-ドイツ"比較法研究. 64号. 16-27 (2003)
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[Publications] 藤原静雄: "資料 改正運邦データ保護法"季刊行政管理研究. 99号. 76-94 (2002)
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[Publications] 藤原静雄: "ドイツ改正環境情報法"自治研究. 79巻3号. 155-158 (2003)
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[Publications] 豊島明子: "パブリック・コメントの意義と課題"住民参加のシステム改革(室井力編)(日本評論社). 174-197 (2003)
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[Publications] 豊島明子: "審議会における住民参加の課題"住民参加のシステム改革(室井力編)(日本評論社). 198-211 (2003)
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[Publications] 高橋明男: "Die innere Sicherheit und die Rolle privater Sicherheitsvorsorge in Japan"Schriftenreihe der Hochschule Speyer Bd.160 (Duncker & Humblot, Berlin). 131-140 (2004)
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[Publications] 本澤巳代子: "介護保険と低所得者対策-ドイツの介護保険給付と租税給付の関係を参考として"会計検査研究. 26号. 91-102 (2002)
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[Publications] 本澤巳代子: "Probleme der japanischen Pflegeversicherung"in: Zeitschrift fur auslandisches und internationales Arbeits- und Sozialrecht. 17.Jg. 79-104 (2003)
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[Publications] 白藤博行: "ドイツの自治体議会と改革課題"財団法人社会経済生産性本部総合企画部『地方議会と住民参加-これからの地方自治体のあり方をめぐって』. 55-64 (2003)
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[Publications] 白藤博行: "「新自由主義改革」から「憲法主義改革」へ"地方自治職員研修. 37巻通巻510号(臨時増刊75号). 18-28 (2004)
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[Publications] 白藤博行: "憲法の自治体議会像と議会改章の課題"専修法学論集. 89号. 31-55 (2003)
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[Publications] 磯村篤範: "リスクコミュニケーションの意義と背景"環境技術(環境技術研究協会). 4月号(近刊予定). (2004)
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[Publications] 木佐茂男(監修), 今川晃(編): "自治体の創造と市町村合併-合併論議の流れを変える7つの提言"第一法規. 250 (2002)
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[Publications] 木佐茂男, 逢坂誠二編: "わたしたちのまち憲法-ニセコ町の挑戦"日本経済評論社. 276 (2003)
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[Publications] 磯村篇範: "ドイツにおける行政改革・NPMと行政法学 山村恒年編著『新行政経営論』"信山社(近刊予定). (2004)