2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14320027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒川 恵市 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80134401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 正丈 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60114716)
中井 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40188868)
遠藤 貢 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70251311)
浅見 靖仁 一橋大学, 大学院・社会科学研究科, 助教授 (60251500)
大西 裕 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90254375)
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Keywords | 民主化 / 民主主義体制 / 構成主義 / 紛争 / 構造主義 / 合理的選択 |
Research Abstract |
本研究は、「民主主義体制の長期的持続を可能にする最も基本的な要因は、長期にわたる紛争や抑圧を経験する中で、相争う人々が、民主主義的な手続きを(結果を保障しないという意味で不確実性を含むにも関わらず)遵守することの重要性や不可避性を学習することである」との仮説を提出した。同時に、地域や国による学習の困難さ・容易さを左右する要因として、構造的要因(国内社会構造、国際構造)と制度的要因も考慮に入れることにした。構造的・制度的コンテクストの中で進む紛争・抑圧の過程と、その中で形成される民主主義的規範を、民主主義体制持続の条件として最重要視するという意味で、この理論枠組みは「構造・構成主義アプローチ」と呼びうる。個別地域・国の経験に関して、チリとアルゼンティンの事例研究によれば、紛争による社会的規範の変化という側面は確かに見られるが、その基盤として、社会構造の変化による左派の動員能力の低下という構造要因が重要である。民主化が不十分なまま続いているアフリカの事例は、エスニックな対立と統合的行政能力の欠如が相互に強めあう悪循環に陥っていることを示しており、やはり構造・制度の制約が重要である。東南アジア諸国の事例は、紛争経験そのものよりも、紛争経験の記憶や解釈(やその変化)が民主主義体制の維持や崩壊に影響を与えることを示している。ウクライナの場合、2004年の選挙騒動自体が民主化プロセスの一部であり、紛争がいっそうの民主化を促した例と見ることができる。他方韓国の場合は、構造的要因よりも権威主義派エリートによる抑圧と寛容のコスト計算が重視される。構成主義のいう「規範」ではなく、エリートの「合理的選択」を強調する見方である。台湾の事例研究では、移行については韓国と同様エリートの合理的選択があったとされるが、その後活性化したエスニック政治の中で民主主義が規範化されつつある可能性も指摘されている。
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Research Products
(6 results)