2004 Fiscal Year Annual Research Report
コメ入札制度デザインの検証と新提案:理論と実験-独占力は入札市場で消せるか?-
Project/Area Number |
14330003
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西村 直子 信州大学, 経済学部, 教授 (30218200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 辰義 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
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Keywords | オークション / 実験 / 入札 / 制度設計 |
Research Abstract |
本研究は,理論・実験の両側面から,自主流通米価格形成センター方式の入札市場における価格形成メカニズムの意味を解明し,コメの実勢需給をより反映できる代替市場制度を提案することを目指すものである. 今年度では,市場実験ソフトの不備が判明し,改定を付した.今後研究方向の変化に伴い,更にソフトの調整が課題となる. 理論研究においては,完全完備情報ゲームの枠組みにおけるコメ入札市場モデルを構築し,その均衡の特性を分析した.コメ市場は銘柄米ごとに,1人の売り手(農協)に多数の買い手が入札する,売り手独占体制である.通常そのような市場では,独占価格が設定され効率性が損なわれると考察される.しかし,現在のコメ入札市場における価格設定ルールの特性により,売り手買い手双方の戦略的意思決定の結果,そこでは独占価格・独占販売量以外の配分に導く多くのナッシュ均衡が存在することがわかった.その中でも,より頑健性をもつ均衡における配分は,競争均衡に近い配分を達成することがわかってきた.この理論分析に基づいて,マニュアルによる試行実験を行った. 一方コメ入札市場との比較対象としての第二価格入札市場における分析では,勝者と敗者との心理的な側面に着目し,完備情報下での第二価格入札市場では通常の入札行動とは異なる行動が生じることが示される.また一般的に第二価格入札と競りとの同値性にも疑問が生じた.この点についての実験研究も,昨年から継続している 口頭発表:上記の暫定的な成果を,大阪大学でのSociety of Social Choice and Welfare世界大会(7月),筑波大学におけるthe 1st Pan-Pacific Conference on Foundations and Applications of Game Theory (11月),大阪大学における第9回実験経済学コンフェレンス(11月)で発表した.
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Research Products
(3 results)