2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14330006
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
美添 泰人 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80062868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椿 広計 筑波大学, 社会工学系, 教授 (30155436)
荒木 万寿夫 青山学院大学, 経済学部, 講師 (20303050)
成田 淳司 青山学院大学, 経済学部, 教授 (00133695)
永瀬 伸子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (30277355)
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Keywords | ミクロデータ / 家計調査 / 貯蓄動向調査 / エンゲル関数 / 物価指数 / 子どもコスト / 完全照合 / 統計的照合 |
Research Abstract |
今年度は,統計法の目的外用申請によって,1980年から2000年までの家計調査および貯蓄動向調査(総務省)のミクロデータの分析を実施した.わが国の家計調査および貯蓄動向調査は,別個の統計として処理されてきたが,一部の世帯は共通していることから,完全照合によって年間収入と収支に加えて資産の保有状況を明らかにすることができる.さらに統計的照合によって時系列的に類似の世帯行動を分析することも可能となる. このデータを利用して,以下の分析を実施した. まず,対象とした20年間における消費,所得,貯蓄などの変化を年齢階層・コーホート・時間という三つの要素に分解してそれぞれの効果を明らかにした.基本的な分析手法はDeaton and Paxsonが用いたものに準じている. 第2に,消費者の効用関数を推定することによって,等効用物価指数を測定することができた.基本的な手法としてはAIDSと呼ばれる関数形を利用した.これは任意の効用関数に関して局所的に2次近似を与えるが,消費支出の品目によってはエンゲル関数は非線形となることから,ノンパラメトリック回帰を適用した. 第3に,子どものいる世帯の家計構造と子どもコストの推計が可能となった.ここでもエンゲルモデルを利用した短期の子どもコストの推定が基本的な手法である. 以上の実証分析を行う一方,統計的照合の理論的検討と上記データによる分析を実施した. いずれも論文としてとりまとめる作業を行っている段階である.
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Research Products
(26 results)
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[Publications] 美添泰人, 川名部友乃: "ミクロデータの統計解析における問題点---全国消費実態調査と貯蓄行動の分析---"社会科学研究(東京大学). 第53巻第5号. 33-66 (2002)
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[Publications] 平田将己, 廣松毅, 美添泰人: "再標本抽出法による標本誤差の推定の試み---シミュレーションと商業動態統計調査の分析---"社会科学研究(東京大学). 第53巻第5号. 147-177 (2002)
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[Publications] 美添泰人: "全国物価統計調査の算式について---宇南山論文へのコメント---"経済研究(一橋大学). 第53巻第4号. 348-350 (2002)
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[Publications] 美添泰人: "経済分析における統計的手法の問題点"青山経済論集. 第54巻第3号. 197-219 (2002)
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[Publications] 西郷浩, 美添泰人, 竹村彰通, 坂巻敏夫: "複数の計量値をもつ調査のための最適配分"日本統計学会誌. 第35巻第3号. 303-314 (2002)
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[Publications] 浅野美代子, 椿広計: "ニューラルネットワークと線形回帰分析のハイブリッド解析法-東京都23区の給水量予測問題への適用-"応用統計学. 31(3). 1-12 (2003)
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[Publications] 椿広計: "ビジネスは科学たりえるか-ビジネスの統計科学的側面"応用科学学会誌. 16. 26-30 (2002)
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[Publications] 永瀬伸子, 長町理恵子: "教育コストの変化と家計構造"社会科学研究(東京大学). 第53巻第5号. 179-193 (2002)
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[Publications] 永瀬伸子: "子育て支援の日加比較"海外社会保障研究. 第139号. 45-46 (2002)
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[Publications] 永瀬伸子: "年金制度における育児期間の配慮について"年金総合研究センター『年金と経済』. 21巻1号. 54-58 (2002)
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[Publications] 永瀬伸子: "若年層の雇用の非正規化と結婚行動"人口問題研究. 58巻2号(未定). (2003)
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[Publications] 浅野美代子, 椿広計: "回帰分析の諸問題-計算機統計学の貢献とニューラルネットワークの特徴-"美添泰人・大瀧雅之編「家計のミクロ統計分析」(第2章),統計情報研究開発センター. 45-56 (2002)
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[Publications] 永瀬伸子: "「少子化はなぜ起こっているのか・サーベイと展望」平成13年度「少子高齢化社会における日本の選択〜教育,福祉と経済の戦略」研究委員会報告書"地球産業文化研究所. 58-67 (2002)
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[Publications] 荒木万寿夫: "大規模データ解析環境の構築と実際"統計情報研究開発センター『家計のミクロ統計分析』. 第8章. 191-225 (2002)
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[Publications] 荒木万寿夫: "失業世帯の家計行動"連合総合生活開発研究所『勤労者の賃金,資産形成のあり方等に関する調査研究報告書』. 第5章. 165-204 (2002)
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[Publications] 美添泰人: "経済統計と指標の役割"統計. 第53巻第1号. 36-37 (2002)
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[Publications] 美添泰人: "全国物価統計調査の特徴"統計. 第53巻第9号. 2-9 (2002)
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[Publications] 美添泰人: "統計学の本質的な考え方と新しい展開"日本アクチュアリー会『会報』. 第553号. 1-72 (2002)
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[Publications] 美添泰人: "景気動向と物価水準"統計. 第55巻第3号. 32-33 (2003)
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[Publications] 椿 広計: "中規模ビジネスデータの分析の方法を巡って-社会人大学院におけるデータ解析教育の課題"平成13年度多目的統計データバンク年報, 多目的統計データバンク報告書. 78. 135-144 (2002)
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[Publications] Miyamoto, M., Tsubaki, H.: "A linear mixed model for the hedonic pricing model"Journal of Applied Stochastic Model in Business and Industry. 13(3). 259-270 (2002)
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[Publications] Asano, M., Tsubaki, H., Yoshizawa, T.: "Effectiveness of neural networks to regression with structural changes"Journal of Applied Stochastic Models in Business and Industry. 13(3). 189-195 (2002)
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[Publications] Kadono, Y., Tsubaki, H.: "IT Management Effectiveness : an Empirical Study in Japanese Companies"Proc. PACIS 2002. 35-49 (2002)
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[Publications] 美添泰人, 大滝雅之: "家計のミクロ統計分析"統計情報研究開発センター研究叢書第9号. ii+235 (2002)
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[Publications] 美添泰人他: "景気指標の新しい動向"内閣府社会経済総合研究所 経済分析 第166号. iv+297 (2003)
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[Publications] 椿広計, 中山健他: "「中小企業の環境経営戦略」ISO14001認証取得の現状と課題"中小企業研究センター編, 同友館. (2002)