Research Abstract |
今年度は(4n+3)次元多様体M上の積分可能非退化四元数CR-構造(研究計画ではPseudo-Quternionic構造と呼んでいた)を考えた。これはM上で定義されたsp(1)-値1-形式ωであってω=ω_1i+ω_2j+ω_3kとおくとき,条件(1), (2)を満たすものである。(1)2-形式p_αをp_α=dω_α+2ω_β∧ω_γ,(α,β,γ,)〜(1,2,3,)とするとKerρ_1=Kerρ_2=Kerρ_3. これをVとおけばV上ω_1∧ω_2∧ω_3≠0. また,H=∩^^3__<α=1>Kerω_αとおけば,直和分解TM=V【symmetry】Hがある。(2)ρ_α|HはH上非退化で,写像J_γをJ_γ=(ρβ|H)^<-1>o(ρα|H):H→Hとして定義する時,J_γ(γ=1,2,3,)はH上の四元数構造を導く。これから特にV={ξ_α, α=1,2,3|ω_α(ξ_β)=δ_<αβ>}で各実1-形式ω_αはξ_αを特性ベクトル場とするコンタクト形式である。自然に、各J_αはKerω_α=H【symmetry】{ξ_β,ξ_γ}上の概複素構造に拡張される : J^^-_α|H=J_α, J^^-_αξ_β=ξ_γ, J^^-_αξ_γ=-ξ_β. この時我々は次のことを示した。主定理:(4n+3)-多様体M上の積分可能非退化四元数CR-構造{ω_α,J_α}_<α=1,2,3,>は三つの非退化CR-構造(Ker ω_α,J^^-_α)(α=1,2,3)を生成する。この結果の応用として,古典的なコンタクト擬計量3-構造に焦点をあてた。実際,コンタクト擬計量3-構造は非退化四元数CR-構造の例になることが示され,我々のJ^^-_α(α=1,2,3)の積分可能性はコンタクト擬計量3-構造に対する正規性条件の消滅を与える。このことは,系I:コンタクト擬計量3-構造は実は指数(4p+3,4q)の擬佐々木3-構造である。与えられた非退化四元数CR-構造{ω_α,J_α}_<α=1,2,3,>は一意的に指数(4p+3,4q)の擬リーマン計量g=ω_1・ω_1+ω_2・ω_2+ω_3・ω_3+π^*g^^^を与える。このとき逆に、系II:非退化四元数CR-多様体Mは指数(3+4p,4q)の擬佐々木3-構造{g,(ω_α,J^^-_α,ξ_α)_<α=1,2,3>}を導く。さらに我々の非退化四元数CR-多様体は四元数多様体と関係があり、次のような構造定理を得た。定理: (M^<4n+3>,{ω_α},{J_α};α=1,2,3)をコンパクト非退化四元数CR-多様体(n【greater than or equal】2)とするとき,GをSp(1)あるいはSO(3)とするような,局所主擬リーマンサブマーション:G→(M,g)→^^π(M^^^,g^^^)がある。さらに(i)π_* : H→TM^^^)は擬リーマン等長写像である(ただし特異点集合を除いて)。(ii)(M^^^,g^^^,{J^^^^V^^^_α}_<α=1,2,3>)は四元数擬ケーラー軌道体である(dim M^^^=4n【greater than or equal】8)。(iii)もしξ_α(α=1,2,3)のいずれか一つでも正則ならば,M^^^は可微分四元数擬ケーラー多様体になる。この応用として,コンパクト(4n+3)-多様体M上の非退化四元数CR-構造は(4n+2)次元複素軌道体N=M/S^1上に複素コンタクト構造を導く。ここで,S^1はξ_αが生成するワン-パラメター部分群で実際それはリー群S^1になる。命題:(4n+2)次元軌道空間Nは複素構造Jをもつ。さらに,非退化四元数CR-構造は_<p1*>(H^<1,0>)⊂T^<1,0>N={υ∈TN【cross product】C|J^^^_υ=iυ}を満たす余次元1の正則部分束_<p1*>(H^<1,0>)を導き,それは(N,J)上の複素コンタクト構造である。
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