2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 周 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50183520)
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Keywords | シュレーディンガー作用素 / 時間周期系 / 漸近展開 / 量子電磁力学 / phase space tunnenling / ランダムシュレーディンガー作用素 / レゾナンス / 状態密度関数 |
Research Abstract |
数理物理、特に量子物理に現れる偏微分方程式あるいは線形作用素に関した数学的諸問題を研究し、次の知見を得た。 1.時間依存型シュレーディンガー方程式の解のもつ散逸的な性質について研究した。特に、a)時間に関して周期的に変化するポテンシャルをもつシュレーディンガー方程式の解の時間無限大における挙動を研究し、解が時間の平方根の逆数に関する漸近展開をもつことを示しその展開係数を定めた。これを用いて、解に対するいわゆるL^p-L^q型の評価をあたえた。さらに解の平滑化作用の評価を得た。b)ポテンシャルが無限遠方で2次関数より早く増大する場合の平滑化評価、ならびにStrichartz型評価を証明しそれを応用して、このようなポテンシャルをもつ非線形シュレーディンガー方程式の初期値問題の適切性を得た。 2.非相対論的電磁量子力学の単純化されたモデルであるネルソンモデルの1光子近似を研究し、そのハミルトニアンについて基底状態の存在や絶対連続性などのスペクトル構造を明らかにし、波動作用素を構成して散乱理論を論じた。 3.ランダム磁場を伴うシュレーディンガー作用素に関する状態密度関数のスペクトルの端点での振る舞いを論じた。また,ランダムなポテンシャルを持つ作用素に対するWegner型評価を示して状態密度関数に対する新たな結果を得た。 4.シュレーディンガー作用素の相空間でのトンネル効果を論じて、multistate散乱に対するその効果を評価した。 5.ポテンシャルバリアーをもつ波動方程式の基本解のレゾナンスを用いた展開式を証明した.さらに、学部後半期生並びに大学院生向けの教科書「ルベーグ積分と関数解析」を執筆した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Jensen, Ame, Yajima, Kenji: "A remark on $L^p$ boundedness of wave operators for two dimensional Schroedinger operators"Communications in Mathematical Physics. 225. 633-637 (2002)
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[Publications] Zhang, Guopin, Yajima, Kenji: "Schroedinger equations with superquadratic potentials"Contemporary Mathematics (American Mathematical Society). 307. 219-332 (2002)
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[Publications] Galtbayar, A., Jensen, A, Yajima, K: "Nelson model with less than two photons"Annales de l'Institute Henri Poincare(A), Theoretical Physics. (印刷中). (2003)
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[Publications] Nakamura Shu: "A remark on Lifshitz tail (or Schroedinger operator with random magnetic field"Proc.Indean Acad.Sci. (Math.Sci.). 112. 183-187 (2002)
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[Publications] Martinez, A., Nakamura, S., Sordoni, V.: "Phase space tunneling and multistate scattering"Journal of Functional Analysis. 191. 297-317 (2002)
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[Publications] Nakamura, S., Stefanov, P., Zworski, M.: "Resonance expansions of propagators in the presence of potential bamers"Journal of Functional Analysis. (to appear). (2003)
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[Publications] 谷島 賢二: "ルベーグ積分と関数解析"朝倉書店. 257 (2002)