Research Abstract |
本年度の研究においては,等質ジーゲル領域の中でも特に管状領域に特定し,それのケーリー変換像の凸性で対称領域を特徴付ける問題を,大学院博士課程の甲斐千舟との共同研究で取り扱った.この研究成果を学術論文としてまとめ,学術雑誌Diff.Geom.Appl.に投稿し,掲載が決定している.この内容に関して,2004年6月,渡航費・滞在費を本科研費から使用して,スウェーデンCharmers大学(ヨーテボリ)でのセミナー,フランスMetz大学での研究集会,そして7月のモロッコHassan II世大学(カサブランカ)でのセミナー及びサフィ工科大学での研究集会での講演において報告した.Charmers大学ではGenkai Zhang教授と,Metz大学ではLudwig教授と,Hassan II世大学ではAbouelaz教授とそれぞれ研究討議も行ない,それらは以後の研究の進展と方向に多大の寄与をした. 本年度後半からは,米国Rutgers大学のGindikin教授との研究討議を進める中で浮かびあがった,等質錐の線型同型群の複素化を用いての対称錐の特徴付けの問題について,研究を行なった.その過程において,分担者伊師英之の研究成果である,等質錐の線型同型群に関する相対不変式の基本生成元の様相が密接に関係してくることがわかった.この研究については,様々な具体例を通して,精緻な解析も必要であることもわかってきており,平成17年度も継続して行なう予定でいる. 分担者の伊師は開凸錐の勾配写像に関して,積年の未解決問題,つまり,凸錐とその双対凸錐の勾配写像は互いに逆写像であるかという問題に関して,非等質な場合に反例を構成することにより,否定的な解答を与えた.等質性を仮定するときは肯定的であったのである. 分担者菊地克彦は,Gelfand対の分類に関する研究を行ない,特にべき零リー群にコンパクトリー群が作用するときの場合の分類,数え尽くしについて,研究の現状の総合報告を行なった.
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