2004 Fiscal Year Annual Research Report
相対論的平均場理論による原子核での表面パイ中間子凝縮
Project/Area Number |
14340076
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土岐 博 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (70163962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 清美 新潟大学, 名誉教授 (40011548)
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (10259872)
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Keywords | パイ中間子 / 相対論的平均場近似 / パイ中間子表面凝縮 / パリティー射影 / 荷電射影 / マジック数 / スピン軌道力 / テンサー力 |
Research Abstract |
パイ中間子表面凝縮の研究を相対論的、非相対論的枠組みで研究した。今年の研究はパリティーと荷電射影の問題、および負のエネルギー状態の取り扱いに集中した。 非相対論的枠組みは射影の問題は多くの研究があり、定式化も標準の方法に従って行った。その結果は論文(Nucl.Phys.)に発表した。He原子核でのパリティー射影は重要であり、射影の効果でパイ中間子凝縮が起こることを示した。さらには、荷電射影でその効果が3倍に増えることを示すことができた。He原子核の性質を再現するにはテンソル力を1.5倍に増やす必要があることを示した。これは、さらにモデル空間を広げる研究に発展した。 相対論的枠組みは負のエネルギー状態の問題があり、定式化もこれまでには無く、試行錯誤の連続であった。最終的には目的のパリティーと荷電射影の定式化を行い、プログラムも作成した。ハドロン物理と原子核物理の統一理論を作るめどをつけることができた。 相対論的平均場では負のエネルギーの取り扱いは非常に重要である。最初に正確に計算する方法を開発した。代表的な原子核の計算を行い、その結果を論文(Phys.Rev.)に発表した。負のエネルギーは非常に重要な効果をもたらし、核子の有効質量はあまり小さくはなれないことを示した。その結果はスピン軌道力が小さく、原子核の基本的性質を再現できないことを意味している。この結果は非常に重要でパイ中間子凝縮が必ず必要であるという結果を与えた。 さらには、負のエネルギーの近似的な取り扱い方を開発した。この方法で原子核の振動現象も取り扱うことが可能であることを示すことができた。 全体として、この研究課題の目標であったパイ中間子表面凝縮の重要性を示すことができた。さらには相対論的な多体理論での負のエネルギーの取り扱い方を完成することができた。
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