2004 Fiscal Year Annual Research Report
クリスタルビームの実現に向けて-極低温高速イオンビームの基礎物性に関する総合的研究-
Project/Area Number |
14340078
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡本 宏己 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教授 (40211809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小方 厚 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 教授 (60023727)
伊藤 清一 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助手 (70335719)
野田 章 京都大学, 化学研究所, 教授 (20114605)
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Keywords | クリスタルビーム / 線形ポールトラップ / 非中性プラズマ / 空間電荷効果 / レーザー冷却 / 加速器 / イオンビーム |
Research Abstract |
昨年度開発した分子動力学シミュレーションコードを用いて、建設中のイオン蓄積リング"LSR"における冷却ビームの物理的振る舞いをさらに詳しく調べた。とくに、冷却用レーザーの軸をビームラインから僅かにずらした場合の効果を検討した。このとき、水平方向自由度と進行方向自由度の間に、レーザーフォトンの実空間分布が一様でないことに起因する相関が生じ、2次元的な冷却効果が期待できる。ビームに対して順方向と逆方向に照射したレーザーの軸をそれぞれ適当にシフトし、水平方向自由度の間接冷却効果が実際に現れることを確認した。鉛直方向自由度は、昨年検討した"共鳴結合法"の適用により、冷却することができる。この特殊なレーザー冷却スキームは連続的なビームにも適用可能であるという利点をもつ。 一方、高周波四重極イオントラップ(リニアポールトラップ)によるイオンプラズマ捕獲実験も引き続き行った。観測データの解析をより容易にする目的で、トラップ中のイオン運動を3次元的に再現するコードを開発した。昨年試作したポールトラップ1号器はプラズマの移送性能が不十分であったが、この3次元粒子追跡コードを使ったシミュレーションにより、定電圧を印加する中間電極の構造に問題のあることが判明した。そこで、中間電極のデザインに本質的な変更を加え、プラズマの保持性能を大幅に向上させた。また、カルシウムイオン生成用の小型原子オーブンを複数製作し、^<40>Ca^+プラズマの捕獲実験を行った。マススペクトルの計測結果は、^<40>Ca^+イオン群によるピークを示している。これらの実験と平行して、レーザー冷却用光学系を構築した。レーザービームの整形やチェンバー内での散乱光対策も既に完了している。
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Research Products
(6 results)