2002 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質中He薄膜超流動を用いた量子渦状態の基礎研究
Project/Area Number |
14340100
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 実 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60192035)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柄木 良友 東京大学, 物性研究所, 助手 (30186027)
|
Keywords | 2次元超流動 / 三次元超流動 / 三次元渦励起 / 量子渦 |
Research Abstract |
これまで2次元性と3次元性がその超流動転移温度や超流動密度の温度依存性などの超流動特性にどのように反映されるべきかについて定説がなかった、「3次元的に孔が繋がった多孔質の表面に形成された超流動He単原子膜」について高精度ねじり振り子法を用いた精密実験を行った。超流動密度の温度依存性の精密な評価から多孔質の孔径が1ミクロン及び10ミクロンの系で3次元超流動位相揺らぎの長さを表すJosephsonの長さの絶対値が評価され、(A)孔径がこのように大きくともJosephsonの長さは全温度領域にわたって孔径より大きく、超流動の3次元性が確かに示されている事が明らかになった。更に、(B)T=0Kの近傍の超流動密度の温度依存性から3次元フォノン励起とつじつまの合う結果が得られた。この様な3次元超流動性は、次のような2次元超流動性に起因する特徴ある振る舞いと共存している。すなわち、超流動転移温度自体は2次元超流動転移温度を規定しているユニバーサル・ジャンプと呼ばれる2次元密度に比例した関係を持ち、また、Tc近傍では2次元特有のエネルギー散逸がねじり振り子法で観察される。この様な系を回転させたときにどの様な励起が可能であるのか、実験的研究が久保田研究室で実現した世界最高速の回転冷凍機で研究されている。この結果の一部は、久保田により第23回低温物理国際会議で招待講演として報告された。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 小幡 利顕, 久保田 実: "Calculation of the phase field of a vortex pair on the surface of a multiply connected substrate"Physical Review B Rapid Communication. 66. 140506-1-140506-4 (2002)
-
[Publications] M.Kubota, T.Obata, R.Ishiguro, M.Yamashita, T.Igarashi, E.Hayata, O.Ishikawa, Y.Sasaki, N.Mikhin et al.: "Superfluidity and Quantized Vortex Studies under Rotation up to 4-Hz atm Kand 1 Hz at sub-mK Temperatures"Physica B. (To be published). (2003)
-
[Publications] R.Ishiguro, M.Yamashita, T.Igarashi, E.Hayata, O.Ishikawa, Y.Sasaki, K.Fukuda, M.Kubota, H.Ishimoto, T.Mizusaki, T.Ohmi: "Vortex Nucleation and texture of rotating 3He -A in cylindrical with R_10 ξD"Physica B. (To be published). (2003)
-
[Publications] Nikolay P.Mikhin, Vitaly E.Syvokon, Toshiaki Obata, Minoru Kubota: "Torsion oscillator study of 3-dimensional superfluidity of 4He thin films in 10μm porous glass"Physica B. (To be published). (2003)