2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340110
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白濱 圭也 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70251486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴山 義行 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (20327688)
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Keywords | 2次元電子系 / 液体ヘリウム / ヘリウム薄膜 / 量子液体 / 量子固体 / ウィグナー結晶 |
Research Abstract |
本研究は、液体ヘリウムの薄膜上に2次元電子系を形成し、そこで期待される新しい量子固体・液体状態の探索を行うものである。高誘電率でかつ表面が平坦な固体(絶縁体)基盤に超流動ヘリウム薄膜を乗せ、その表面に2次元電子系をつくると、誘電体基盤の分極により表面電子間のクーロン相互作用が遮蔽され、幅広い密度・温度領域で量子多体効果(量子ウィグナー結晶化、フェルミ縮退)の発現が理論的に予想されている。本研究では過去の研究で明らかになった問題点を困難を克服し、量子効果の観測を試みる。科学研究費が交付される2年間に、ヘリウム薄膜に2次元電子系を広範な密度で安定に形成するためのノウハウを確立し、10mKまでの極低温域で交流伝導度の測定を行い、量子効果の探索を進める。 平成15年度は、平成14年度に行った交流伝導度測定装置とヘリウム4クライオスタットの準備と予備的測定に引き続き、希釈冷凍機を用いた極低温での測定を開始した。誘電体基盤として高い表面平坦度を有するサファイア(比誘電率ε〜9)を用い、ピエゾモーターでバルク液面の高さを制御する実験セルを60mKまで冷却し、伝導度の測定を行った。ヘリウム膜厚を30から100ナノメートルの範囲で制御し、電子密度が10^8個/cm^2において、伝導度が温度低下につれ上昇する振る舞いを観測した。また、電子と液体ヘリウムの表面励起(リプロン)の相互作用を制御するため、ヘリウム3-4混合液表面上に2次元電子を束縛させて伝導度の測定を試みたところ、全く予想外の共鳴現象を観測した。この共鳴について詳細な測定と解析を進め、ヘリウム3の混合により表面電子が空間的に不均一になったことによって起こるエッジマグネトプラズマ共鳴であるとの結論を得た。この結果は学術論文(Physica E)として公表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Haraguchi, Y.Shibayama,...K.Shirahama: "Production of cold metastable helium atoms in a cryostat"Physica B : Condensed Matter. 329-333. 34-35 (2003)
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[Publications] Hanako Isshiki, Yoshiyuki Shibayama, Keiya Shirahama: "Edge Magnetoplasma-like Resonance in Two-Dimensional Electrons on the Surface of 3He-4He Liquid Mixtures"Physica E : Low-dimensional Systems and Nanostructures. (印刷中). (2004)