2003 Fiscal Year Annual Research Report
コイル・ストレッチ転移臨界歪速度近傍での高分子鎖の直視観測
Project/Area Number |
14340117
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 直樹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40142202)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 充夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90088849)
|
Keywords | 蛍光偏光顕微鏡 / 流動複屈折 / DNA / DNA脂質複合体 / 紡糸特性 / コイル・ストレッチ転移 / 回転半径 / 蛍光顕微鏡観測 |
Research Abstract |
蛍光偏光顕微鏡の調整1.流動複屈折 DNA-Naは可塑性に乏しく紡糸や成型が困難とされるが、セチルトリメチルアンモニウム(CTA)クロリドのようなカチオン性脂質を添加すると紡糸特性が改善されることが知られている。DNA-NaとDNA-CTAなど脂質複合体の紡糸特性の違いは、これらの分子の伸長流動特性の差に起因するものと思われる。蛍光偏光顕微鏡の調整のために、DNAおよびDNA脂質複合体の伸長流動複屈折特性を調べた。伸長流動場によって高分子が伸ばされ並んだり、流動域で分子が配向すると,流動複屈折が観測される.溶液中の高分子が屈曲性分子である場合,ある歪速度(臨界歪速度、<ε_c>^^^・)で急激に分子伸長(コイル・ストレッチ転移、CST)が起こり複屈折強度Δnが急増する。DNA-NaとDNA-CTAの両系でも流動複屈折がこれらの条件を満たしたことからCSTが起こっていると考えられた。<ε_c>^^^・の値の比較から、DNA-CTAでは回転半径がDNAの約半分程度であることが明らかになった。CST以後のΔn値は、最大歪速度付近でΔn_<DNA-CTA>/Δn_<DNA>〜1/10であった。CST以後のΔnのプラトー値Δn_pは分子分極率の異方性をα、密度をρ、オーダーパラメータをSとするとΔn_p〜αρ^<1/2>Sで表せる。DNA-CTA繊維の分子間隔情報から、観測されたΔnの差はρやSでは説明できない。DNA-CTA繊維ではDNA2重ラセンの周りをCTA鎖がシースのように取り囲んでいるモデルが提案されており、CTAとDNAの空間配置が提案されているモデルのようなでものであれば、観測されたΔn_pの比が説明できる。即ち、溶液中でもモデルのような構造が保たれていると考えられる。 蛍光偏光顕微鏡の調整2.蛍光顕微鏡観測 DAPIによる標識DNA分子の画像は、かろうじて観測できたが、流動中の像を観測するまでには至ってい。より強い蛍光発光をする色素を選ぶ必要がある。
|