2002 Fiscal Year Annual Research Report
液晶におけるパターン形成の解明 -場の対称性と非平衡マクロ揺らぎ-
Project/Area Number |
14340123
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
甲斐 昌一 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20112295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 芳樹 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70274511)
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Keywords | ソフトモード乱流 / 時空カオス / 電気対流 / ゴールドストンモード / レヴィー分布 / 非平衡ブラウン運動 / 非平衡散逸系 / ラグランジアン乱流 |
Research Abstract |
平衡系の相転移では臨界点近傍でマクロスケールの非線形揺らぎが現れ,物性量に異常性が見られることが知られているが,一方非平衡開放系では,臨界点近傍だけでなく,広い範囲の制御パラメータに対してそのようなマクロな揺らぎが現れる.本研究では,そのような現象として,液晶分子が電極に対して垂直に配向したホメオトロピック配向系に生じるソフトモード乱流に注目する.ホメオトロピック系では,あるしきい値以上の電圧に対して配向状態が不安定化し,任意の方向に分子が傾く.そのとき系の連続回転対称性が自発的に破れ,ゴールドストーン・モードが誘起される.さらに電圧を上げて対流周期構造が発生すると,ゴールドストーン・モードと対流モードの非線形結合によって,対流構造はすぐに不安定化して時空カオス状態となる.これがソフトモード乱流である.この乱流の発生は通常の乱流発生過程とは異なり,静止安定(非平衡線形)状態から1回の超臨界分岐(2次相転移)を経て発生する.このため,乱流とは言いながら分岐点のごく近傍ではほとんど線形(弱非線形)に近い記述が可能と推測される.そのような観点から、本年度はソフトモード乱流に伴う粒子のランダム運動の統計的性質を研究した。その結果、粒子の運動は分岐点近傍ほどガウス性から遠くはずれ、レヴイ分布であること、その分布には粒子のサイズ依存性があること、分岐点から遠ざかり乱流性が強くなると指数分布的になることが分かり、明らかに特異な統計性を持つことが明らかとなった。しかしながら、ラグランジアン的にはこれらの異常を伴うにもかかわらず、パターンの時空相関関数は通常のガウス型依存性を示し、明らかにオイラー的視点とラグランジアン的視点では異なった結果が得られた。それが非平衡散逸系独特の揺らぎに起因しているものと考えられ、今後、その起源について研究を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Jong-Hoon HUH, Yusril YUSUF, Yoshiki HIDAKA, Shoichi KAI: "Prewavy instability of nematic liquid crystals in a high-frequency electric field"Physical Review E. 66・31. 031705-1-031705-6 (2002)
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[Publications] Toshio MORI, Shoichi KAI: "Noise induced entrainment and stochastic resonance in human brain waves"Physical Review Letters. 88・21. 218101-1-218101-4 (2002)
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[Publications] Koyo TAMURA, Yoshiki HIDAKA, Yusril YUSUF, Shoichi KAI: "Anomalous diffusion and Levy distribution of particle velocity in soft-mode turbulence in electroconvection"Phycica A. 306. 157-168 (2002)
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[Publications] Y.YUSUF, Y.HIDAKA, S.KAI, H.R.BRAND, P.E.CLADIS, W.WEISSFLOG, G.PELZL: "Electric Field Mediated Growth Habits in B7"Ferroelectrics. 276. 171-178 (2002)