2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340124
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
小林 信夫 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30087100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 肇 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30244411)
東 俊行 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70212529)
奥野 和彦 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (70087005)
城丸 春夫 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70196632)
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Keywords | イオン蓄積リング / 原子分子衝突 / 静電リング |
Research Abstract |
静電的にイオン軌道を制御するイオン蓄積リングは,従来のイオン加速器に用いられてきた磁場型イオン蓄積リングに比較して,[1]イオン軌道がイオンの質量に関係しないため,重いイオン,すなわち多原子分子イオンやクラスターイオンを蓄積できること。[2]分子イオンの場合には,振動励起状態が赤外光放射によって冷却化することが可能であること。[3]ビームが周回するため実質的ビーム強度が強く,電子,中性原子,レーザーとの合流衝突実験が容易であること、といった数多くの特徴を備えている。我々は静電型イオン蓄積リングの開発、及び電子、中性原子、正負イオンビーム、レーザー光とのマージング実験、多価イオンビームとのクロスビーム実験によって、原子分子イオン、クラスターイオンについての寿命や、電子、中性原子、正負イオン、光子との相互作用の研究といった全く新しい原子衝突物理を切り拓くことを目的として研究に取り組んでいる。 平成14年度には、静電型イオン蓄積リングの設計製作および建設を行った。リング本体のイオン周回長は約8m、周回イオンのはエネルギーは最大30kqeVとした。静電リングの設計段階では、イオン軌道計算、冷却のための熱伝導計算を詳細に行った。特にイオンの蓄積寿命を上げ、残留ガスとの衝突によるバックグラウンド信号を減らすため、リング内は10^<-11>Torr台以上の超高真空に保つ必要がある。そこで製作工程では、リング本体を組み上げ前に900度に加熱しガス出しを行った。排気系は、イオンポンプ4台ゲッターポンプ6台を整備し、全体をカバーする断熱体を製作して300度でベーキングした。分子イオン振動状態冷却のためは、リング内電極を液体窒素温度に冷却できるようにした。それと共に,導入するイオンに応じたイオン源の検討、さらにイオン源からリングへの打ち込みビームラインの設計を行った。これらと平行して実験室の電源や液体窒素等の整備もすすめた。またテスト用デュオプラズマイオン源を導入し正負両イオンの取り出しにも成功している。このように順調に建設等が進み、平成15年度3月上旬に静電リング本体の建設が完成し、現在運転テストを行う段階に達している。
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