2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14340125
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
平山 孝人 立教大学, 理学部, 助教授 (40218821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古橋 治 立教大学, 先端科学計測研究センター, 博士研究員 (50350327)
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Keywords | 多価イオン / 希ガス固体 / 電子遷移誘起脱離 / 励起子 / Van der Waals固体 / Potential Sputtering / Kinetic Sputtering / 角度分布 |
Research Abstract |
平成16年度の成果は以下の通り。 1.低エネルギー電子衝撃による固体Ne表面からの励起原子の脱離角度分布の温度依存性を測定した。試料温度4.7〜7Kの範囲で,温度を上昇させると脱離角度分布が広がることがわかった。脱離角度分布と格子振動の関係をシミュレーションにより明らかにする予定である。 2.多価イオン入射による固体Neからの絶対脱離収率の測定を行った。入射エネルギー0.1〜3keV,価数を+1〜+6の範囲で測定した。イオンの入射エネルギーが1keV程度でも脱離収率は数千(原子/入射イオン)という驚くべき結果が得られた。このような大きな脱離収率は吸着エネルギーが非常に小さい(20meV/atom)固体Neを標的としたことで初めて観測された現象である。また,Ar^+衝撃による脱離収率は,入射エネルギーに対して原点を通る直線でよく表され,Ar^+による脱離は運動学的な効果(Kinetic Sputtering : KS)のみであることを示している。KSによる脱離はその運動エネルギーにのみ依存するために入射イオンの価数には依存しないので,Ar^<4+>およびAr^<6+>とAr^+との脱離収率の差は内部エネルギーによる効果(Potential Sputtering : PS)に依るものと考えられる。Ar^<q+>(q=2,3,4,6)衝撃によるPS脱離収率とそれぞれの多価イオンの持つ内部エネルギーとの関係をから,内部エネルギー1eVあたり約4個の原子が脱離し,またPS脱離の敷居エネルギーが約20eVであることが分かった。この敷居エネルギーは固体Neにおける励起子生成(17.5eV)およびバンドギャップエネルギー(21.5eV)にほぼ一致し,PS脱離機構が固体内の励起状態生成およびイオン化に強く関係していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)