2003 Fiscal Year Annual Research Report
配向分子からの光電子の角度分布測定による形状共鳴ダイナミックスの研究
Project/Area Number |
14340126
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Research Institution | The High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
柳下 明 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80157966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 純一 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (10322629)
高橋 正彦 高エネルギー加速器研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80241579)
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Keywords | 運動量画像イメージング / 光電子・光イオン同時計測 / 振動準位を分離 / Franck-Condon原理の破れ / 形状共鳴 / スピン多重度を分離 / 光電離ダイナミックス / 光電子の角度分布 |
Research Abstract |
放射光軟X線を用いて、光電子および光イオンの運動量画像イメージングを基本とした、光電子・光イオン同時計測実験装置による実験を開始した。最初の立ち上げ実験では、実験装置の不備(ディレイライン位置検出器システムのハードおよびソフトの不備・分子線源の不備)を全て洗い出した。夏には、これらに改良を加えた。そして、秋には光電子および光イオンの運動量画像イメージング測定を可能にした。1月から3月の放射光ビームタイムでは、NOおよびCO2分子の内殻光電離において、光電子・光イオン同時計測を行い配向分子からの光電子の角度分布データを蓄積した。現在、データ解析中である。 次ページの研究発表の欄に記した研究成果は、研究代表者がすでに有している角度分解型光電子スペクトロメータとイオンスペクトロメータを用いて得られた研究成果である。配向CO分子からの振動準位を分離したC1s光電子の角度分布測定を行い、形状共鳴領域において、光電子の角度分布に著しいFranck-Condon原理の破れを発見した。形状共鳴においては、遷移モーメントが分子の核間距離で著しく変わるので、電子の運動と核の運動を分離したFranck-Condon原理は適用出来ないことを指摘した。遷移モーメントを核間距離で平均化することによって、光電離プロセスが正しく記述できることを、理論的に示した。 配向NO分子からのスピン多重度を分離したN 1s光電子の角度分布測定を行い、形状共鳴領域においは、光電子と分子内電子の交換相互作用の違いにより、^3Πおよび^1Πイオン化状態では、光電離ダイナミックスが著しく異なることを発見した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Adachi: "Shape-Resonance-Enhanced Vibrational Effects in the Angular Distributions of C 1s Photoelectrons from Fixed-in-Space CO Molecules"Phys.Rev.Lett.. 91・16. 163001-1-163001-4 (2003)
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[Publications] K.Hosaka: "N 1s photoionization cross sections of nitric oxide molecules in the shape resonance region"J.Phys.B : At.Mol.Opt.Phys.. 36・23. 4617-4629 (2003)
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[Publications] K.Hosaka: "Multiplet-specific N 1s photoelectron angular distributions from the fixed-in-space NO molecules"J.Phys.B : At.Mol.Opt.Phys.. 37・3. L49-L55 (2004)
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[Publications] J.Adachi: "Angular distributions of vibrationally-resolved C 1s photoelectrons from fixed-in-space CO molecules : vibrational effect in the shape resonant C 1s photoionization"J.Electron Spectrosc.Relat.Phenom.. (in press). (2004)