2004 Fiscal Year Annual Research Report
配向分子からの光電子の角度分布測定による形状共鳴ダイナミックスの研究
Project/Area Number |
14340126
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
柳下 明 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80157966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正彦 自然科学研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80241579)
足立 純一 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (10322629)
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Keywords | 多重同時計測運動量画像分光実験装置 / 三重同時計測 / 配向したCO_2分子 / 光電子の角度分布パターン / CO_2分子の対称性 / 解離チャンネル / 反転対称性 / 分子の構造変形 |
Research Abstract |
対称性の高い分子の等価な原子を識別する測定手段はなかった。しかしながら、本研究で設計・製作した多重同時計測運動量画像分光実験装置によって、それらを識別することが可能にした。すなわち、私達がCO_2分子のO^+-CO^+O1s光電子の三重同時計測で測定した配向したCO_2分子からのO1s光電子の角度分布パターンは、O1s光電離によりCO_2分子の対称性がD_<∞h>からC_<∞v>に低下していることを明白に示した。O原子の1s軌道を光電離すると、振電相互作用により反対称伸縮振動が励起され、伸長した結合のO原子に内殻空孔が局在することは、今までの研究で知られていた。本研究では、反転対称性を示さないO1s光電子の角度分布パターンから、伸長した結合のO原子が右側にあるのか左側にあるのかを識別することを可能にした。そして、O1s光電子の角度分布パターンを解析することによって、内殻空孔は解離O^+イオン側に100%の確率で局在していたことを明らかにした。 多原子分子の内殻を光電離すると、オージェ崩壊後に多岐な解離チャンネルが開ける。本研究で設計・製作した多重同時計測運動量画像分光実験装置は、多重同時計測であるので多岐にわたる解離チャンネルをすべて追跡測定することができる。そこで、C_2H_2分子をサンプルに選び、解離チャンネルを選別した配向C_2H_2分子からのC1s光電子の角度分布測定をおこなった。そして、解離イオン種が同じでない解離チャンネルにおいては、C1s光電子の角度分布のパターンが反転対称性を示さないことを発見した。この発見は、C1sに空孔を持つC_2H_2分子の対称性が、オージェ崩壊の時間スケール(数10fs)でD_<∞h>からC_<∞v>に低下したことをC1s光電子の角度分布測定で捉えたことを意味している。このように、分子の内部時計(オージェ崩壊)を利用して、数10fsの短時間に起る分子の構造変形を直接観測したのは本研究が初めてである。
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Research Products
(5 results)