2004 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃波遷移領域から下流域での非熱的高エネルギー電子加速
Project/Area Number |
14340144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星野 真弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90241257)
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Keywords | 衝撃波 / 粒子加速 / 数値シミュレーション / 波乗り加速(サーフィン加速) |
Research Abstract |
無衝突衝撃波は,超音速プラズマの運動エネルギーを熱エネルギーに変換すると同時に、効率よく非熱的超高エネルギー粒子を形成するメカニズムとして宇宙空間において重要な役割を果たしていることがよく知られている。しかし、その物理メカニズムについての理解は限られている。本研究では,最近注目されてきている波乗り加速(surfing acceleration)について、その加速効率やエネルギースペクトル、衝撃波ダイナミックスの解明に向けた研究を行った。 本年度の成果は、 1)従来はコヒーレントな波動における波乗り加速の議論であったが、より現実的な系への適応を念頭に、乱流場における波乗り加速の効率について調べた。これまでの常識とは異なり、乱流場により波乗り加速の効率があがることを明らかにした。これは乱流場による速度空間拡散により、波乗り加速過程が有効となる速度空間へと粒子を注入できることによるものである。 2)臨界マッハ数を超えた衝撃波では、衝撃波の再形成(Shock Reformation)が起きることが知られていた。我々はマッハ数を更に上げていくと、選択的電子加熱により波の急峻化が弱まり、衝撃波再形成過程も弱まることを指摘した。従来衝撃波再形成はイオンダイナミックスで支配されると考えられてきたが、高マッハ数の衝撃波では電子の寄与も重要であることを見出した。 3)加速された高エネルギー粒子のスペクトルを精度良く議論することを目指し、電磁ブラソフコードの開発を行った。空間1次元・速度空間2次元のコードが完成し、垂直衝撃波の様々な波動励起が精度良く計算できていることを確かめた。現在相対論的コードへの拡張を始めたところであり、相対論的電子波乗り加速のエネルギースペクトルの議論を今後とも進めていく予定である。
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