Research Abstract |
平成16年度前半には,酸素精製ラインに二酸化炭素レーザー発生装置を連結し,酸素同位体分析用レーザープローブが一応の完成をみた.その後,照射時の観察をしやすくするためのレンズの交換や,同時に珪素同位体の分析を可能とするためのラインの修正など,種々の改良を加え,所期のスペックを越える使い勝手のよいレーザープローブとなった. 完成した装置を使って,レーザーの照射により,珪酸塩鉱物より酸素が発生しているのか,酸素の収量が期待値どおりであるのかといった,基礎的な実験を遂行した.酸素同位体の測定にかかわる部分については,計画通りのスペックになっていることが確認された.ただし,フッ素ガスの発生については,予想量の10分の1程度のガスしか生成されない点が問題として残った. 放散虫生層序に関しては,同位体研究でも重要な試料の採取地である,フィリピンやチベットでの研究を推進した.フィリピンについては,北パラワン地塊の地質構造発達史にかんする論文を「The Island Arc」誌に公表した.チベットにかんしては,放散虫年代の確定に重要な意味をもつアンモナイトについての論文をイタリアの専門誌に公表するとともに,ジュラ紀新世末の放散虫についての論文が「The Island Arc」誌に印刷予定となっている. 第32回万国地質会議(イタリア)では,わが国の上部ジュラ系の基本層序のひとつとみなされている鳥巣層群について,放散虫層序およびアンモナイトの産出にかんする講演をおこなった.国内の学会では,ジュラ紀新世の放散虫古生物地理にかんする研究報告などを行った.
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