2004 Fiscal Year Annual Research Report
「太古代・海低熱水系断面の復元」初期生物生息場解明への地質学的・化学的アプローチ
Project/Area Number |
14340153
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Research Institution | Kyishu University |
Principal Investigator |
清川 昌一 九州大学, 大学院・理学研究院, 講師 (50335999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝 茨城大学, 教育学部, 助教授 (10272098)
池原 実 高知大学, 海洋コアセンター, 助手 (90335919)
北島 富美雄 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (40274427)
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Keywords | 太古代 / 熱水脈 / グリーンストーン帯 / 黒色チャート / 黒色チャート脈 / バクテリア化石 / 酸素・炭素同位体 / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究は,32億年前の海底熱水系を保存良く記録する地層デキソンアイランド層である中の黒色チャートに注目し、詳細な分析することにより,太古代の海洋底熱水噴出とそれに伴う堆積作用を復元することを目的とする。さらに本地層を構成する黒色チャート中に豊富に含まれる炭素物質は生物起源であると見なされ,それらの形態や化学・同位体的特徴から当時の海底熱水系周辺での生態系を復元することも可能である。 ピルバラ海岸グリーンストーン帯(coastal Pilbara Greenstone belt)中のデキソン島北岸にはデキソンアイランド層が連続的に分布する。地層は後の横ずれ変形のためにブロック状に数10度回転しており,それぞれのブロック(西からDX A〜DX F)で,地層層序が観察される。本年度注目した地層はDX B,DX C,DX D,DX E,DX Fである。特にDX Bは新たなサンプリングにより詳細な変化がわかった。 その結果、黒色チヤート層には3種類、熱水起源と思われる黒色チャート脈には2種類のものがあり、それぞれ脈活動と海面表層での堆積作用に関連があることが明らかになった。炭素・酸素同位体では黒色チャート層と黒色チャート脈には差がほとんどなく、-25~-30パーミルであることが明らかになったが、バイオマット層近辺で炭素同位体比が-40パーミルという低い層からなることがわかり、明らかに熱水脈が吹き上げた環境で生物活動が盛んであったと考えられようになった 鏡下観察では、4サンプルでひも状バクテリア組織が確認された。エッチングによる電子顕微鏡観察では、現在の海洋底で報告されているマイクロバクテリアと同様の組織が大量にみつかった。明らかに、マット近辺での生物活動が盛んになり、その後鉄層が堆積することより、黒色チャート層を作る生物が酸素を供給してきた可能性が高いと考えられる。
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Research Products
(3 results)